よなかのはなし

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地政学を独習したい人は必読、おすすめの良書15選

f:id:hiroseyonaka:20151206191722p:plain年々軍事力を強めつつある中国をはじめとしたアジア諸国の影響で、日本の国防を考える上で外せない知識となってきた「地政学」。今の時代には極めて重要な学問であるはずなのですが、欧米と違い、日本では防衛大学校くらいでしか専門的に学ぶことができません。

 

そこで、「地政学に興味があるけどどんな本を読めば良いの?」という方のために、私がこれまで読んできた中から独学で地政学を学ぶ際の参考となる良書を15冊ほどピックアップしてみました。

 

中には時代考証が古く今の時勢に適さないものもありますが、地政学の基本概念を理解する上では非常に役立つ本ばかりなので、興味のある方は一読されることをおすすめします。

本を読む時間がなく、地政学をざっくりと知りたい方はまずWikipediaを読んでみよう

地政学って何?という人の為に、Wikipediaから定義を引用しておきます。Wikipediaの「地政学」ページは、とてもよくまとまっていて見やすいので、本を読む時間がなくざくりと地政学を知りたい方はまず手始めにこのページから見て概要を理解するのも良いかもしれません。

 

地政学とは地理的な環境が国家に与える政治的、軍事的、経済的な影響を巨視的な視点で研究するものである。 イギリス、ドイツ、アメリカ合衆国等で国家戦略に科学的根拠と正当性を与えることを目的とした。「 地政学的」のように言葉として政治談議の中で聞かれることがある。 歴史学、政治学、地理学、経済学、軍事学、文化学、文明、宗教学、哲学などの様々な見地から研究を行う為、広範にわたる知識が不可欠となる。

Wikipedia 地政学

 

2015年11月1日 追記

 文化放送で放送中のラジオ「オトナカレッジ」で、世界史で学べ!地政学の著者、茂木誠氏がとても分かりやすく地政学について講義してくださっています。

 

 オトナカレッジはPodcastでも配信されているため、本を読むのが苦手だという方はこちらから聞いてみるのもおすすめです。

 

10/2 世界史学科

「世界の今が見えてくる!"地政学"とは何なのか?」 講師:茂木誠

http://www.joqr.co.jp/college-pod/genre/culture/151002_mogi.html

 

10/30 世界史学科

「地政学で読み解くアメリカの世界戦略」 講師:茂木誠

http://www.joqr.co.jp/college-pod/genre/culture/1030.html

 

 

地政学入門―外交戦略の政治学 (中公新書) 

凄くおすすめ!

この本が書かれたのは約20年前。ドイツ・アメリカ・イギリス地政学の発展の歴史と合わせて、基本的な地政学の概念が丁寧に説明されている良書です。図が古く、やや見にくさは感じるものの、専門書が少ない地政学の分野においては最も安価で手軽に手に入る本と言ってもいいのではないでしょうか。入門編としてはじめて地政学の本を買うならこの本一択ですね。

 

東アジア動乱 地政学が明かす日本の役割 (角川oneテーマ21) 

 

韓国、中国の執拗な日本外し、北朝鮮とロシアの接近、東南アジア諸国と中国の衝突など、東アジア周辺の近年の情勢を踏まえて各国の外交戦略を「地政学的観点」から分析している。角川はよくKindleでセールをやっているので、電子書籍で購入する方がお得。

 

領土の常識 (角川oneテーマ21)

 

著者の前作『国防の常識』の続編にあたる本書は、戦争・軍事戦略から「領土」を根本的に解説しています。米・中・露をはじめとする大国の領土拡張の動向や、尖閣・竹島・北方四島など日本が抱える領土問題に関しても具体的かつ論理的に分析しているのでとても理解しやすい。

 

地政学の逆襲 「影のCIA」が予測する覇権の世界地図 (朝日新聞出版)

 

中東、インドなどの情勢についての理解を深めるためには、その地形や地図を知っておくことが何よりも大切。初期地政学の解説からその問題点に関しても言及しているので、地政学自体には興味がない方でも、中東の歴史に興味があれば十分に楽しめる内容です。

 

右であれ左であれ、わが祖国日本 (PHP新書) 

 

 著者は過去五百年の歴史をふまえて、日本を信長型の「国際日本」秀吉型の「大日本」家康型の「小日本」という三つのモデルに類型化し、「中国」「ロシア」「西洋」という三つの主勢力という枠組みから、憲法第九条、集団的自衛権、核武装論、六カ国協議への対応策を導き出しています。今の国際情勢と、「右でもなく左でもない日本」といとして物事を捉える視点が新鮮で面白い。

 

マッキンダーの地政学―デモクラシーの理想と現実 (原書房)

凄くおすすめ!

 国際関係を常に動態力学的に把握しようとする“ハートランドの戦略論”の理解が深まる一冊。地政学の祖マッキンダーの幻の名著とも言われています。地政学を学ぶなら必ず目を通すべき一冊であり、バイブル的な位置づけ。本書を読む時は手元に世界地図を用意すると、より理解が深まると思います。

 

マハン海上権力史論 (原書房)

凄くおすすめ!

クラウゼヴィッツ『戦争論』、リデル・ハート『戦略論』とならび、1890年の刊行以来、世界の海軍戦略に決定的な影響を与えてきた不朽の名著。平和時の通商・海軍活動も含めた広義の「シーパワー理論」を構築したマハンの代表的著作。これも地政学を学ぶ上で避けて通れない一冊です。

 

なお、学術文庫からは「マハン海上権力論集」も出版されています。こちらはkindleでも配信中。

 

 

“悪の論理”で世界は動く!~地政学—日本属国化を狙う中国、捨てる米国 (フォレスト出版)

 

近年、アメリカの経済力・発言力の低下と中国の台頭により、近年世界の勢力図が大きく変わりつつあります。日本の同盟国アメリカにとって国益の第一は地政学上、日本でないのは明らか。本書では、アメリカが日本を捨て中国に委譲するとき、 戦略なき日本は世界地図か姿を消すのか?という考察がかなり緻密に行われています。日・米・中の三国の未来を地政学的観点から捉えた良書。

 

平和の地政学―アメリカ世界戦略の原点 (芙蓉書房出版)

 

戦後から現在までのアメリカの国家戦略を決定的にしたスパイクマンの名著の完訳版。本書は、スパイクマンの講義用のノート・スライド資料を中心に作られており、スパイクマンが提唱した、ユーラシア大陸の沿岸部を重視する「リムランド論」の概説が、51枚の地図と共に詳しく解説されています。地政学・軍事学を学ぶ際には必ず目を通しておきたい一冊。

 

進化する地政学―陸、海、空そして宇宙へ (五月書房)

 

 本書は、現代戦略研究の第一人者コリン・グレイと、ジェフリー・スローンによって編纂された、古典地政学を現代的な視線で再考察した本です。現代らしく、宇宙空間やIT時代の地政戦略に関しても言及されており、特にIT社会に古典地政学の理論を当てはめる所なんかは、他の地政学本にはない面白さがありますね。

 

胎動する地政学―英、米、独そしてロシアへ (五月書房)

凄くおすすめ!

イギリス海軍史、アメリカの「戦争方法」、さらにナチスドイツ、ソ連崩壊後のロシアまで「戦略学」からのアプローチによる貴重かつ重要な考察を精選。また各章ごとに訳者の解説がついているのも有難い。本書の構造は以下のようになっています。

  • 逃れられない地理
  • 帆船時代における天候、地理、そして海軍力
  • 地理と戦争の関係について
  • ドイツ地政学 ハウスホーファー、ヒトラー、そしてレーベンスラウム
  • ロシアの地政学における事実と幻想

地政学ではあまり取り上げられることのないロシアの地政学についても取り上げられているため、とても希少な本であると言えます。

 

日本地政学―環太平洋地域の生きる道 (原書房)

 

 この本は「国際派日本人養成講座」というメールマガジンの記事を見たことがきっかけで読みました。日本、台湾、フィリピンやシンガポールなどの海洋アセアン諸国、オーストラリア・ニュージーランドからなる環太平洋地帯を分析しています。

 

中国の「核」が世界を制す (PHP研究所)

 

 アメリカの政治学者や軍事学者と日本の国防につて議論を交わした筆者による意欲作。地政学だけでなかく、対中外交の問題点についても分析されているため、外交政策を考える上でも外せない良書。

 

地政学で世界を読む―21世紀のユーラシア覇権ゲーム (日経ビジネス人文庫)

 

 地政戦略家として知られるアメリカ人著者が、ユーラシアを舞台に繰り広げられる日、米、中、英、仏、露、印など大国小国のパワーゲームを解説しつつ、アメリカが今後も覇権を維持し続けるためにはどうすればいいのか、を地政学的に分析しています。米同時テロ後の激動を踏まえ、著者の最新インタビューも掲載するという太っ腹。

 

『紺碧の艦隊』の読み方〈3〉紺碧要塞の地政学 (トクマ・ノベルズ―戦略裏読みシリーズ)

 

 超人気の〈紺碧〉シリーズでおなじみのシミュレーション・ノベルの第一人者が、ファンの熱い期待に応えて書き下ろす戦略裏読みシリーズ第3弾。本書は第1部で「大高地政学の基礎原理」を明らかにし、第2部で「世界平和への地政学」を提唱する2部構成―。しかも巻末には「簡略地政学用語解説」、読者参加の「付録 練習問題」を収録した地政学入門の決定版。

 

 

2016年3月1日 追記

世界のニュース分かる!図解地政学入門

 Kindleの3月分月替りセールで「世界のニュース分かる!図解地政学入門」が50%OFFになっていたので購入して読んでみました。

 

本書では「地政学は戦争の歴史を学ぶこと」という謳い文句の通り、地政学を国際情勢や戦争にからめて解説しています。しかし大半は地政学というよりも戦争の解説になっているため、地政学の基本概念を学びたい初学者向けの入門本には適さないと思います。入門本としては上記で紹介している曽村氏の「地政学入門」の方が詳しく、文章も分かりやすい。

 

地政学本の中でも取り上げられることの少ないロシアの地政学について言及している点は評価できますが、ロシア地政学も「胎動する地政学―英、米、独そしてロシアへ (戦略と地政学)」の方が詳しいので、どうせ読むなら後者の方をおすすめします。

 

まとめ

 地政学はやろうと思えば独習で習得するのも(かなり根気が必要にはなりますが…)決して不可能ではありません。今回ご紹介した本を一通り読めば、きっと日本の防防衛政策をまた違った視点で捉えることができ、世界情勢の見方も変わってくるはずです。

 

…なんて偉そうに言ってもみましたが私もまだまだ勉強中の身ですので、今後も理解を深めるため地政学本を片っ端から読んでいくつもりです。新しい本を見つけ次第このエントリーも随時更新していきたいと思いますのでどうぞお楽しみに!