私が実行した多読+基礎文法+アウトプットの英語学習法

自然と身につく1万語英語多読アイキャッチ

カポーティの原書を読みたい!あと英語の資料も読みたい!という思いから、本腰を入れて英語学習をスタートさせたのが3年前。留学する金銭的余裕も時間もなかったので、学習方法はもちろん独習。苦労の甲斐あって、1年後には日常生活レベルの読み書き、会話ができるようになりました。……カポーティはちょっとまだ手が出ませんが。

私が行った英語学習は、本当に王道中の王道。まず基本的な英文法を学び、その日勉強した英文法を使って英文を作成→アウトプットを行う。そして、空いた時間でペンギンブックス(レベル1)やSimple wikiをひらすら読み漁る。本のレベルは語彙が400~1000程度のものを選び、簡単な単語を延々読み続けてそこそこ理解できるようになったら、少しレベルアップして語彙レベル2000の本を読む、その繰り返しです。

1.英文法を学ぶ

ただ本を読み続けるだけでは、永遠に英語は上達しません。多少なりとも英文法の知識がないと、いずれ長文という壁にぶつかってしまうからです。また、文法をすっ飛ばすと、いつまで経ってもアウトプットができず、「英語を読めるのに話せない人」になってしまいます。

シャドーイングは応用が効かずほとんど役に立たないので、英語学習を始めた当初、私はまず簡単な文法を頭に入れつつ、その文法を使って簡単な英文を話すことから始めました。

英文法の参考書として人気なのは「Forest」ですが、学校教育で習得した英語をほとんど忘れている人が「Forest」を読んでも、おそらく内容の半分も理解できないはず。英語を1から学び直すなら、文法も少しレベルを落とした「英文法のトリセツ— じっくり基礎編ー」、あるいは「Mr. Evineの 中学英文法を修了するドリル」から始めたほうが良いと思います。私は「Mr. Evineの 中学英文法を修了するドリル」を使用しました。

「Mr. Evineの 中学英文法を修了するドリル」のおすすめポイントは、説明が簡潔で分かりやすいところです。英文法の中でも苦手とする人の多い時制の構文も、未来を表すbe going to~とwillの違いをスムーズに理解できました。以下にその部分を引用します。「Forest」はこの5倍くらい回りくどく書いてますからね。

be going toとwillの違い

よく学校ではbe going to=willと学びます。すでにその感覚が定着している人は多いですね。 でも、実はこの2つ、全く同じ感覚で使うことはできません。次の英文を比較してみましょう。

(a) We are going to live in New Zealand next year.

(b) We will live in New Zealand some day.

(a)ではニュージーランド滞在計画が確実、あるいはなんとしても実現させようという意志が込められています(主観的)。

私たちは来年、ニュージーランドに住むつもりだ。(もう決まってる or 絶対やってみせる!)」

一方、(b)は意志も予定の確実性もあまり感じられず、漠然と先のことについて言及しているだけです。「そうなるんじゃないかなー」と、ちょっと引いて自 分を見ている感じですね(客観的)

「私たちはいつかニュージーランドに住むだろう。(多分そうなるんじゃないかな)」

be going to …するつもり

(a) 主観的で、すでに準備された近い予定・計画

(b) 話し手の意志・感情・確信が強く含まれる

will …するだろう

(a) 単純に、未来のことを述べる

(b) 話し手の客観的な判断を示す be going toは主観的で身近な未来、willは客観的で期間の制限なしが基本です。

出典:Mr. Evineの 中学英文法を修了するドリル

本書は「ドリル」というだけ あって、直接書き込める仕様になっています。しかし、英語は「書いて覚える」よりもその時間を使って「10回読み返す」方が遥かに効果的。私は文法を暗記する気などさらさらなく、何度も読み込んで大体のイメージを掴んだらそこで終わりにしていました。

日本人の英語学習者は完璧主義が多いので文法も全て丸暗記しようと躍起になりますが、英語学習で完璧を追い求めると大抵挫折します。文法に関しては「暗記」ではなく「何度も読み返す」ことが重要です。

2.多読

基本文法+アウトプットと平行しながら行いたいのが多読。多読に適しているのは、語彙数でレベル分けされている「Graded Reader」と呼ばれるペーパーバックス。レベル1の平易な本から読みこんでいくと、そのうち英文法をイメージで捉えることができるスキルも身につきます。そんな「Graded Reader」のメジャーなペーパーバックスには、以下のようなものがあります。

I Can Reader

I Can Readシリーズは幼児向けの「My Very First」から「ADVANCED READING」までレベル分けされ、英語初心者なら語彙レベルが500程度の「Level1」がおすすめ。日本でも人気の「Little Bear 」や「Frog and Toad Are Friends」など、ラインナップも豊富。よくKindle本セール対象にもなっているので、電子書籍での購入を検討してみては。

Step into Reading

ディズニーが好きな方なら、Step into Readingシリーズがおすすめ。「アナと雪の女王」をはじめとしたディズニー作品がレベル1~2で楽しめますし、「Big Bear, Small Bear」は、雑誌の英語学習特集でおすすめの多読本としてよく取り上げられるほどの人気本です。

Penguin Leaders

本格的な小説を簡単な英語で楽しみたいならペンギンリーダーズ。ジュール・ベルヌの「海底2万マイル」やジョニー・デップ主演で映画化もされた「スリーピー・ホロウ」がともにレベル1(語彙レベル300)で楽しむことができます。

Oxford Bookworms Library

Oxford Bookworms Libraryは映画や小説をはじめ、地球、宇宙、文化など幅広いテーマを取り扱っているのが特徴。日本文化を紹介している「Japan」、絶滅危惧種の生物たちがテーマの「Animals in Danger」などは、ともにレベル1(語彙レベル400程度)。英語を読みながら知識を得たい人におすすめ。

インターネットで多読をするならこのサイト

本を買うお金が惜しいなら、英語学習者向けネットニュースを利用して多読に励みましょう!少ない語彙数で書かれた「Simple English Wikipedia」や、「News in Levels」は、多読にもってこいのサイトです。

■Simple English  Wikipedia

https://simple.wikipedia.org/wiki/Main_Page

■News in Levels

http://www.newsinlevels.com/

News in Levelsは、同じテーマをレベル1~3まで難易度を分けて配信しており、段階を踏んで徐々にレベルアップすることができます。1記事の文量が短いため、読みきった時の満足感がモチベーションアップに繋がるのもいい!同ページには動画もあるので、文章を読みながら発音も確認できる。つまり、「読む・話す・書く」の作業が1ページで完結する。

以下はNews in Levelに掲載されたクヌートのニュースです。このレベルなら英語学習初心者でも挫折せずスラスラ読めるのではないでしょうか。

Knut was a polar bear. He was very famous. He lived at the Berlin Zoo. He was four when he died. He fell into his pool.

Why did he fall into the pool? He was sick. His brain was swollen. People did not know why his brain was swollen.

Now, experts do some tests. They test Knut’s brain. Now they know that Knut had “anti-NMDA receptor encephalitis”.

This is not a normal disease. Every year, only 200,000 people have this disease. Knut is the first animal that had it.

出展:Why Knut died

多読を続けるコツは、①簡単な単語の文章に多く触れること、②興味のある本を読むこと。簡単な文章をガンガン読み込み、自分が興味のあるテーマの本も併読すると、楽しく飽きずに多読を続けられるはずです。

選書に制限はありませんが、一時期、日本でも流行った「ドラえもん」などのネイティブ版コミックはやめておいたほうが無難。というのも、日本で発売されているネイティブ版コミックには「ネイティブチェック」と呼ばれる文法の校正が入っていないんです。

間違った文法、一般的ではない言い回し、漫画によっては英語圏特有のスラングは英語学習の妨げます。コミックを使った多読を行うときは、監修が入っている大手出版社の「○○と学ぶ英語」といった類の本がおすすめ。

3、単語は勉強しなくてよい

英語学習に欠かせない、英単語の丸暗記。しかし私は、「単語は単体で丸暗記するより、文章と一緒に覚えていく方が効率が良い」と考え、多読しながら英単語を覚えるスタイルを取りました。そして、暗記をしない代わりにスマホを携帯し、目に入るものを片っ端から調べていくことを習慣化。

たとえば、部屋の中のタコ足配線が目に入れば、すかさずネットで「タコ足配線 英語」と検索する(タコ足配線は英語でmultiple connection)。調べるだけで、暗記はしません。体験や経験は長期間記憶として残るので、こうした習慣を続けていくと1週間後でもタコ足配線を見たら自然と頭の中に「multiple connection」が浮かんでくるようになるからです。この方法で単語を片っ端から調べ、同時に多読を続ければ語彙も徐々に増えていきます。

4、勉強時間の作り方

日本人が英語を習得するために必要な時間は、およそ3000時間程度。この時間を一体どうやってひねり出すか。それは個人の性格とライフスタイルによって大きく変わってくるので、いわゆる「万人に適した勉強時間」というものは存在しません。

英語学習を始めた当時、私のライフスタイルは、毎日8時間労働を週5日、週に残業は5時間程度といったスケジュールでした。しかも電車通勤なので朝は早く、夜は遅い。自由に使える時間は会社の休憩時間30分と、帰宅後~就寝までの2時間。英語学習を始めてた当初はこの時間を全て読書に宛てていましたが、毎日眠いわしんどいわで、モチベーションがダダ下がり。

このままではすぐに挫折する!と危機感を覚え、すぐにスケジュールを考え直しました。平日は「News in Levels」を眺める程度にし、土・日にまとめて本を読む(計8時間程度)。学習時間を土・日に固めると、やはり集中力の持続時間が格段に違いました。

「英語学習は毎日コツコツするもの」と刷り込まれている日本人は、毎日勉強が必要!という脅迫概念にとらわれすぎているように感じます。短期間で英語を習得したいなら、最も高いパフォーマンスを発揮できる時間を英語学習に充てるのが何よりも大事!