ハロプロ

良曲と怪曲が入り乱れるアルバム「15 Thank you,too」全曲レビュー

モーニング娘。’17の最新アルバム「15 Thank you,too」、今回はその全曲レビューです。

最高に愛想がない15 Thank you,tooのジャケット

全曲レビューにいく前に、まずはアルバムジャケットに物申す。「15 Thank you,too」を直訳すると「こちらこそありがとう」になるわけですが、あれが「ありがとう」って顔か?いくら最近のハロプロがクールハロー改め勘違いアーティスト野郎路線をこじらせているといっても、「15 Thank you,too」のジャケットはあの顔じゃ駄目だろ~~

どうせなら振袖着てニッコリ笑うとかさぁ~、リボンか水引ぐるぐる巻きにして私がプレゼントよ!みたいなやつとかさぁ~、花撒き散らすとかさぁ~……もっとこう、あるじゃないですか?もっとあるんじゃないですか?アルバムタイトルにふさわしい表現がさぁ!

15 Thank you,too全曲レビュー

1. ジェラシー ジェラシー

15 Thank you,tooのトップを飾るのは、ハロプロ楽曲大賞最有力の「ジェラシー ジェラシー」。本アルバムでは「ジェラシー ジェラシー(Album Ver.)」になっていますが、こういうフワッとした書き方だと、トラックリスト見ても曲のイメージが掴めない。佐藤と森戸追加しただけなら「14人Ver.」、アレンジ変えてるなら「○○Arrange」とか「○○Mix」にして、きちんと曲のイメージが伝わる書き方してください。

そして、ジェラジェラをアルバムトップに置くなら、イントロのストリングスパート長めにし、開幕感を演出して聞き手をジラジラジラしちゃって欲しかった。もしくは引き伸ばしたイントロを「イントロダクション」として1曲目に置き、曲間なくして2曲目のジェラジェラに繋げるとか。

2. ロマンスに目覚める妄想女子の歌

ゲームボーイ起動音のごときテッテテテテーなイントロ、曲の随所に撒き散らされたキラキラ感(夜の遊園地っぽい)、成長したピョコトラ主人公を思わせるウザ可愛い歌詞の数々……そんな古き良きハロプロのかほり漂うのが、この「ロマンスに目覚める妄想女子の歌」。弩級のゴーサインと違い、ドラマティックな展開ながら転調も自然で違和感なく聞ける曲です。相変わらず、つんくボーイの女子力が高い。ウザ可愛い歌詞と曲調のわりにバックトラックはアレンジが重く、エッジが効いてます。聴き所は佐藤・小田・譜久村のソロパート、三者三様の「抱きしめたあとに口づけて~」。

3. CHO DAI

イントロの「ドンドコドン!ドンドコドン!」がウルフボーイに酷似しているCHO DAI。歌詞で「ちょうだい~ちょうだい~」連呼しているので、第一印象は「シェリル・ノームのゴ~~ジャスをつんく節でこねくりまわした感じのやつ」でした。

今はどこか不気味で怪しさ漂う曲だなと思い、歌詞の「ヒカリ 潤い すごい 未来」の片言さも相まって「アマゾン奥地でリンボーダンスしながら歌っているモーニング娘。’17」みたいなイメージになってきた。この解釈絶対間違ってるけど。

4. 私のなんにもわかっちゃない

2015年からコンサートで披露されていた「私のなんにもわかっちゃない」。こういう辛気臭くて湿っぽい曲は譜久村・小田の独壇場ですね。鞘師・鈴木が抜けてから歌割りも変更されましたが、1番サビの鞘師パート「ああ女なら~」は佐藤、大サビの鞘師パート「ああ女なら~」は小田と佐藤がそれぞれ引き継いでいます。

この曲に関しては正直、やり込むほど劣化していくな……という印象。小田・佐藤の歌が粘っこすぎて、耳にベトベトまとわりついてくる感じがする。2015年の程よいウェット感が今は湿度300%になってしまったというか。そのせいで曲への興味も次第に薄れてきました。

5. 邪魔しないで Here We Go!

新体制直後にリリースされた「邪魔しないで Here We Go!」。秋冬にリリースするなら「忘年会でウケる・カラオケ定番になるお祭りソング」か「人肌恋しさを満たしてくれるラブソング」にすべきなので、完全にシングルのチョイス間違えてる。

邪魔しないで Here We Go!は新しい振り付け師に頼んだダンスが好評らしいけど、私は全く共感できません。クールに全振りしているこの曲のダンス、正直モーニング娘。’17がやる必要性を全く感じない。ダンスの感想は?と聞かれても「イワシの魚群を見ているような気分です」としか答えられない。

14人でこの手のダンスやると、見てる方はどうしたって目が滑っちゃうんですよ。だから、こういう振り付けを持ってくるならリゾナントブルーみたいにセンター固定して、その子たちに別衣装着せて目立たせないとダメでしょう。

6. Style of my love

小田さくら・飯窪春菜・牧野真莉愛の3人が歌うStyle of my love。第一印象は「90年代アニメのEDっぽい曲」。爆れつハンターとかシティハンターのエロいEDに流れてそうなアレです。もしくはフジテレビ・西村京太郎サスペンスのエンディングにありそうなやつ(Aメロでもれなくカモメが飛び立つ)。

私は配信で購入したため歌詞カード見ておらず、そのせいでしばらく「愛の測定器」を「愛の宿敵」に空耳していました。普通、J-POPの歌詞に測定器が出てくるとか思わないよ。

7. ナルシス カマってちゃん協奏曲第5番

最近の曲の中では、かなりキャッチーな部類の「ナルシス カマってちゃん協奏曲第5番」。タイトルを見た瞬間「ナルシス カマってちゃんってなんだよ……」と思ったけど、ももクロの猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」意識してんですかね……相変わらず、つんく曲はよく分っかんねえな~~

本アルバムはアレンジがマンネリで、どれも「聞いたことある感じの娘。曲」になってしまっている。そのせいで15曲ともファーストインパクト弱いんですよね。ナルシス カマってちゃん協奏曲第5番はサビ終わりの「もっと見つめて」がフックになってるからいいけど、この曲アレンジ次第でもっと化けたんではないかと。あとは、某メンバーのソロパートが多いので聞いているとヒヤヒヤする。誰とは言いませんが。

8. 青春Say A-HA

私のなんにもわかっちゃないと同じく、かなり以前からコンサートで披露されてた「青春Say A-HA」。太鼓の達人で叩くと気持ちよさそうな曲です。ふくちゃん、ちょっと叩いてみて。

でも正直、この曲もう飽きられてる感ありますよね。青春Say A-HAに関しては、コンサート初披露直後にライブバージョンを先行配信しとけばよかったのに!の一言に尽きる。もう曲の鮮度落ちまくり。歌詞の「そういう女でごめんなさい」がイラッとくるので、音源化されてもあまり聞き返さないと思います。容赦なくスッ飛ばしてやるね。

9. 若いんだし!

工藤遥卒業ソングの「若いんだし!」。「若いんだし!」というタイトルを見て私が想像したのはGLAYの「Young oh! oh!」だったので、こんなオシャンティーでトロピカルなハウスをもらっても消化できない。

10. もう 我慢できないわ~Love ice cream~

アンジュルムのドンデンガエシ×Borno!÷2な印象の「もう我慢できないわ~Love ice cream~」。10代特有の爽やかさ、謎の全力疾走感、そしてアイスクリームへの異常な執着を歌うという意味不明なコンセプトから漂うギャルバンっぽさ。

歌唱メンバーは、尾形春水・羽賀朱音・加賀楓・横山玲奈の4人。尾形・羽賀はハロステで公開説教された理不尽さをバネにし、この歌で自信をつけて流れを引き寄せて欲しい。ボトム常連の落ちこぼれでもエースに変身できるのがハロプロだからね。頑張ってください。

11. 弩級のゴーサイン

アレンジがクソやかましく、大サビ前のクラシックパートのせいでファンにも不評の「弩級のゴーサイン」。私は正規衣装のインナーが毒ガエルの配色だったことにドン引きし、エンターテイメント性を殺すアクロバットを取り入れた振り付けにもドン引きして、15 Thank you,tooを購入するまでほとんど聞いてませんでした。ほんとこの事務所は一回PTAに怒られてこいよ。

で、アルバム買ってから聞き込んでいったわけですが、私ならあのクラシックパートにはギターソロを入れるね。ギターソロ入れとけば、あそこはもう少し聞ける感じになったと思います。

12. 恋は時に

歌唱メンバーは、譜久村・生田・石田・工藤・佐藤・野中・森戸の7人。曲調はミディアムテンポですが、歌詞が壮大。「恋は時に~」の所から、曲がサーッと拓けていく感じが好き。ただ、The Visionもそうだけど、こういうメッセージ性の強い曲は、もうちょっとアレンジ抑えてバラード寄りにしてほしい。もっとじっくり歌詞を味わいたいんですよ私は。The Visionのときにも言いましたけどね。

13. 女子かしまし物語(モーニング娘。’17Ver.)

つんく曲の中では駄作に分類される(と私は思っている)、女子かしまし物語。正直、なぜこの曲を新録しアルバム収録したのか意味が分からない。トラックリスト見ると、完全にこの曲だけ浮いてません?かしましは、つんくボーイのメンバーへの興味が薄れた結果、年々歌詞が薄っぺらくなってるし、コンサートでもダダスベリしてますよね。そも、クールハローを推し進めてるのに、なぜこのクソダサさの権化曲はOKになるのか。

14. BRAND NEW MORNING

13期加入後の初シングル「BRAND NEW MORNING(以下BNM)」。良し悪しは抜きにして、モーニング娘。’17を象徴する曲といえばやっぱりこれだな。第一印象は「SEALsに扮したモーニング娘。’17が歌う紅蓮の弓矢を100倍ダサくしたやつ」。で、新時代の幕開けを連呼しファンを洗脳しようとしてやがるな、とモーニング娘。’17への不信感を募らせた曲でもある。

BNMはアルバム1曲目に置いてナンボ、むしろ1曲目にしか置く場所がないと思ってたんですが、本作ではまさかの14曲目。いったい何の意図があってここに持ってきたのか、制作陣にはぜひアプカミで説明してほしいところ。だってBNMを14曲目って意味分かんないでしょ。

モー娘。’17の新曲BRAND NEW MORNINGから漂うSEALDs感がすごい

15 愛の種(20 Anniversary Ver.)

15 Thank you,tooの最後を飾るのは、モーニング娘。の原点「愛の種」。アルバム用に新録した現役メンバーのみの20 Anniversary Ver.は、正直蛇足ですね。この曲はOG+モーニング娘。’17バージョンのみで良かった気がする。そしてアルバムに収録する必要もなかった気がする。秋ツアーのパンフにでも付けて、タイトル通り全国にまき散らせば良かったんでは?

アルバムラストはもう少し余韻がほしいので、五線譜のたすきの方が合っていると思います。曲を小出しにして「リリースペース上げたよ詐欺」なんかせず、五線譜のたすきもこのアルバムに入れとけよと思いました。

というわけで、モーニング娘。’17の新アルバム「15 Thank you,too」の全曲レビューでした。このアルバムを本気で売るつもりなら、メディアで披露する機会の多い泡沫サタデーナイト!を入れとくべきだったと思うけど……。

まあ事務所が「泡沫なしでも問題ない!売れる!」と判断したんでしょう。その判断、多分間違ってますけどね。そしてイベントDVDより、今はLIVE音源を特典にしたほうが売れると思いますけどね。もしくはシングルまとめたプチベストとの2DISC。音源を特典にしたら配信盤の単価引き上げられるのに、もったいない。

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