光インターネット対応のマンションに住んでいると、結構な頻度で「いきなりネット回線に繋がらなくなる」というトラブルに遭遇します。ブラウザにいきなり「ネットが見つかりません」が出ると焦りますが、落ち着いて切り分けをすれば速攻で解決!私は以前、某プロバイダーと回線業者のカスタマーサポートで働いていたので、今回はその知識と実体験を交えて、この「いきなりネットに繋がらなくなる問題」の対処法を解説します。
目次
インターネットに繋がらないときの切り分け
「光インターネット対応」と書かれているマンションには、室内に光コンセントが設置されています。入居者はこの光コンセントにLANケーブルを差し、ケーブルとパソコンを繋いでインターネットに接続します。
といってもこのご時世、有線接続する人はごくわずか。大多数は光コンセントとWi-FiルーターをLANケーブルで繋ぎ、別途購入した無線ルーターから電波を飛ばしてパソコンやスマホをインターネットに接続しているはずです。つまり、図にするとこう!
こうした配線状況で突然インターネットに繋がらなくなったとき、考えられる原因が以下の6つです。
- パソコンが故障して、無線を受信できなくなった
- LANケーブルが断線してネットに繋がらなくなった
- LANケーブルの接触不良でネットに繋がらなくなった
- 部屋内に設置しているWi-Fiルータの故障
- 各部屋に回線を振り分けている、マンションの大元のルーターが故障
- 回線業者による工事・障害の影響
- 2重ルーター環境による接続不可
ネット回線がある日突然繋がらなくなると、パソコンのツールバーのアイコンが「インターネットアクセスなし」に変わります。当然ブラウザを開いても「サーバが見つかりませんでした」となり、どのページにもアクセスできません。
■インターネットに繋がらないときの接続アイコン
「光インターネット対応物件に住んでるんですが、突然インターネットに繋がらなくなりました!」という問い合わせがきた場合、カスタマーサポート等では以下の順番で案内をします。一戸建てだと設置機器が多いのでその分確認事項が増えますが、光コンセントが設置されているマンションの場合、やることは簡単です。
- 障害情報の確認
- 配線の確認
- 無線ルーターのランプ状態を確認
- 無線ルーターのランプが正常であれば、ルーターの再起動と初期化を提案
- 改善しない場合は、LANケーブルの断線の可能性ありと判断。他のLANケーブルでの接続を試してもらう
- それでも改善しない場合は、光コンセントとLANケーブルを直接繋いでもらう(有線接続で接続の可否)
- ここまでやって改善しない場合は、無線ルーターの故障と断定。ルーターの買い直しを提案
上記の案内はカスタマーサポートがやるマニュアル対応。が、私の経験上、光インターネット対応物件で突然インターネットに繋がらなくなった場合、パソコンの故障や無線ルーターの故障、ケーブルの断線・接触不良が原因の可能性は非常に低く、ほとんどはマンションのルーター故障か、2重ルーター環境が原因です。
入居者が確認すべきこと
光インターネット対応物件でネットが突然繋がらなくなった場合、入居者は以下2つを確認しておきましょう。
- 使用しているパソコン故障していないか確認
- マンションの自室まで回線が来ているか確認
1、パソコンが故障していないか調べる
まず最初にやるべきことは、「インターネットに繋がらない原因がパソコンの故障か否かの確認」。パソコンの接続設定を開き、IPアドレスが正常に取得できているかをチェックしましょう。
【IPアドレスの確認方法(Windows8の場合)】
1、コントロールパネルを開き、ネットワークとインターネットの項目内にある「ネットワークの状態とタスクの表示」を開く。
次に、ネットワーク共有センターにある「接続」のネットワーク名をクリック。
次に、「Wi-Fiの状態」の「詳細」を開く。
ネットワーク接続詳細のIPv4を見て、IPアドレスが正常に取得できているか確認。
IPアドレスが正常に取得できているなら、パソコンが故障している可能性はなし。そして無線ルーターの電波も正常に飛んでいるので、無線ルーター故障の可能性も消えます。つまり、室内(LAN側)ではなく、室内外(壁のモジュラージャックよりも外。WAN側)に何かしらの問題があるということが分かります。
2、マンションの自室まで回線が来ているか確認
WAN側に問題がある場合は、管理会社に電話をすればOK。管理会社はすぐに業者へ連絡し、復旧作業を行ってくれるはずです。土日・祝日で管理会社が休みなら、念のためNTTに問い合わせ、インターネット回線に問題がないか確認しておくと良いでしょう。
NTTは契約や故障・障害等の受付窓口が沢山ありますが、インターネット回線に繋がらないときは下記のフリーダイヤルが問い合わせ窓口になります。他の窓口にかけると、たらい回しにされるのでご注意。
光インターネット対応物件では、入居者本人が回線業者(NTT)と直接契約を結ぶわけではありません。しかし、インターネットに繋がらない場合はNTT西日本・東日本のフレッツ光故障対応窓口に電話をしてマンションの住所を伝えれば、社内システムで回線状況を調べてもらうことが可能です。
NTTが回線状況を調べ、「NTTの回線に問題はない。プロバイダまでは正常に繋がっています」と言えば、マンションに設置されている大元のルーターが故障しているか、2重ルーター環境になってしまった可能性大。
2重ルーター環境が原因でネットが繋がらない?
光インターネット対応のマンションには、各部屋へ電波を振り分けている大元のルーターが設置されています。マンションのルーターはプロバイダーから提供されている機器。この機器のルーター機能がオンになっている状態で、入居者が自室内にルーター機能オンの無線ルーターを設置する。すると、同一ネットワーク内に2つルーター動作をする機器が存在することになります。こうした状態を「2重ルーター環境」と呼びます。
2重ルーター環境は、インターネット回線接続が不安定になったり、接続不可を引き起こす原因。マンションの機器にルーター機能が具わっている場合、入居者は自室の無線ルーターをブリッジモードに設定する必要があります。無線ルーターを、ルーター・ブリッジモードのいずれで使用するかは入居マンションの設備や使用機器によって異なりますが、インターネット対応物件で突然ネットに繋がらなくなった場合、この「2重ルーター環境」が原因の可能性も大いにあるのです。
参考ブリッジ設定にする必要はありますか?/どのような場合にルーター機能を停止させますか?|BUFFALO
メーカー大手のBUFFALOは、自社の無線ルーターを設置する前に、まず管理会社に以下の項目を確認してくださいと言っています。無線ルーターの設定がよく分からない場合は、まず以下の項目を管理会社に問い合わせたうえで、各メーカーのカスタマーセンターに電話してみてはどうでしょうか。入居者が設定を間違え、マンションが2重ルーター環境になってしまうと、そのマンション全体のインターネット回線が繋がらなくなり、他の入居者に迷惑がかかることもあります。
■無線ルーター購入前に調べておくこと
- 各ご家庭で、それぞれ決められたIPアドレスがあるかどうか
- マンション等(集合住宅)共有のルータが存在するかどうか
- 共有のルータがある場合、同ルータからDHCP機能による自動でのIPの振り分けは行っているかどうか
- 一般的な無線LAN親機を設置する上で、ルータとしての設置、ブリッジとしての設置のどちらを推奨しているか
- 設置にあたり、無線親機に必要な設定があるか、ある場合はその値
- PPPoE接続の回線かどうか
もしも損害が発生したら……
NTTやプロバイダの多くは、インターネットサービスの仕様上ある程度の通信障害発生はやむを得ないとして「短時間の通信障害によって発生した損害は賠償しない」姿勢をとっています。契約書の免責事項にも必ずそうした記載がありますよね。
しかし大型連休や年末年始など、長期間にわたる通信障害で仕事に支障が出、損害が発生した場合は別です。もし、マンションに設置されているルーターの故障で過去に何度も長期的な通信障害が発生していたにも関わらず、管理会社が何の対策も講じなかったのなら、損害請求するのも一つの手。場合によっては管理会社の「債務不履行」が認められるケースがあるからです。
管理会社に前もって「インターネットに繋がらず損害が出た。今後また同様のトラブルが発生した場合は損害請求しますよ」と事前に伝えておきましょう。相手方がその損害を予見できたとみなされれば、調停や訴訟で賠償責任が認められやすくなります。