スマホを持ったままNHKの放送受信契約を解約する方法

NHK地方放送局01

ネットでNHK受信契約義務について検索すると、「ワンセグ対応端末を所持しているだけでNHKの受信契約義務が生じるよ!」といった、消費者のミスリードを誘うような記事がワンサカ出てきます。

しかしこれは大きな間違い。ワンセグ対応端末を所持していている「だけ」なら、NHK受信契約義務は発生しません。 「受信設備がある場合にNHK受信契約義務が生じる」 という表現が最も正確なんですが、どうも色々なところで「ワンセグ対応端末」と「受信設備」が混同されているような……。そこで今回は、どのような場合にNHK受信契約義務が発生するのか、実体験およびNHK担当者とのやりとりを交え、詳しく解説していきたいと思います。

当記事内に掲載した、筆者とNHK担当者との会話、および、受信契約義務に関する情報は、2018年5月18日、NHK放送局営業部に架電し確認したものです。

NHK受信契約に関する質問窓口はどこか

まず、NHK受信契約に関する質問は、どの窓口で受け付けてくれるのか?

NHK公式サイト内にある「受信料関係のお問い合わせ先」ページには、問い合わせ窓口の電話番号一覧が掲載されています。

【受信料関係のお問い合わせ先】

https://pid.nhk.or.jp/jushinryo/toiawase/

このページ内に「受信契約窓口」らしきものは見当たりませんが、多分ここだろうと思い「受信料のお問い合わせ窓口」0570-077-077に架電。

直後、ふれあいセンターの受信料窓口につながりましたが、「ここは受信料に関する問い合わせ窓口なので、受信契約に関して詳細な案内はしかねる」と言われてしまいました。「受信契約に関してのお問い合わせは、お客様がお住まいの県(または市)のNHK地方放送局に電話してください」とのこと。アッ、ハイ……

※NHKの地方放送局および電話番号は、以下ページに掲載されています。

【全国の窓口一覧(NHK公式サイト)】

https://pid.nhk.or.jp/jushinryo/menjo/window.html

自宅近隣のNHK地方放送局に架電すると、営業窓口につながりました。受信契約義務に関して何点か確認したことがある旨を担当者に伝え、対応を依頼。以下は、筆者とNHK担当者が行った実際のやりとりです。

【質問1】ワンセグ対応端末を所持していれば、NHK受信契約義務が発生?

私が最初に尋ねたのは、「ワンセグ対応端末を所持している場合の受信契約義務」について。ワンセグ対応のアンテナ内蔵機種(ロッドタイプ)なら、所持している=受信設備があるとみなされ、NHKの受信契約義務が生じる。それはわかる。では、XperiaやGalaxy、AQUOSシリーズのように外付けTVケーブルが必要な機種は……?ちなみに、外付けTVケーブルとはこういうやつです。

XperiaSO-01Fテレビアンテナケーブル正面
画像:XperiaSO-01Fのワンセグ用テレビケーブル

XperiaSO-01Fテレビアンテナケーブル_3
画像:フルセグ(ワンセグ)視聴時

筆者:たとえば、スマホ自体にワンセグ機能はついてるけど、視聴するには別途テレビケーブルが必要な機種もありますよね。そういう機種を購入するとき、じゃあいいですワンセグ観ないのでテレビケーブルはいらないですと店頭で受け取らなかったら、スマホ自体に機能はあるんだけれども実際に視聴はできない状態。こういうときNHKの受信契約は必要なのかどうか、教えてください。

NHK担当者:ワンセグ機能がついたスマホに変えられたという場合でも、そのテレビケーブルをつけないと全くテレビがご視聴できないという場合でしたら、それはご契約お願いできないですね。

筆者:契約の必要はないんですね?

NHK担当者:そうですね、あくまでもご受信機器があるか、ご受信設備があるかどうかということなので。そのワンセグつきのテレビがあっても、テレビケーブルがないと視聴できないということでございましたら、それはご受信ができないご環境になりますので。

【結論】

  1. ワンセグ用アンテナ内蔵機種であれば、端末を所持しているだけで受信契約義務が発生する
  2. テレビケーブル・3.5mmイヤホンを使用しなければ視聴できないワンセグ対応端末を所持している場合、テレビケーブル・3.5mmイヤホンを破棄すれば受信契約義務は生じない
  3. iPhoneやガラケーなどのスマホ非対応機種は、受信契約義務が生じない

※ドコモ公式サイトに掲載されている機種を調べてみたところ、アンテナ内蔵型端末は「arrows Be F-04K 」のみでした。

【質問2】テレビケーブル破棄の証明書は必要?

NHK解約のためテレビケーブルを破棄・返品しても、本当に破棄したか否かNHKでは確認できないはずです。携帯ショップに持ち込んで処分を頼み、「テレビケーブルを携帯ショップに返品しましたよ」みたいな証明書を提出する必要はあるの?

筆者:(NHKを解約するときに)テレビケーブルを、たとえば携帯ショップに持っていって処分お願いして、ショップの店員に一筆書いてもらう。そういうものをNHKに、ワンセグ対応のスマホは持ってるけどテレビケーブルないので視聴できなくなりました、と、証明書みたいな形で提出する必要はあるんでしょうか?

NHK担当者:そうですね、特には(必要ないですね)。ご解約のときにはですね、ワンセグありますかということを尋ねさせていただきまして、ないということでございましたら、特にそういったものはお願いはしてないですね。

筆者:電話口で「受信環境ないです」と、お話すれば十分ですかね。

NHK担当者:そうですね。こちらの方から解約届という書類を送らせていただきまして、そのご返答をもってのお手続き完了という形になります。

【結論】
テレビケーブルを破棄したことの証明書は必要ない

【質問3】テレビをパソコンのサブモニターとして使う場合は受信契約が必要?

NHK解約する=テレビを必ず処分しなくてはいけない、なんでしょうか?

アンテナを処分し、B-CASカードを処分したあと、必ずテレビも破棄しなくてはならないの?テレビは、パソコンのサブモニターとして使用したりDVD専用モニターとして使うこともできますが……教えてNHKさん!

筆者:たとえば、NHK未契約の状態でテレビを購入しましたと。でもそれは地上波とかNHKを観るためではなくて、自宅内のルーターと繋げてインターネットの画面を映すため、パソコンのサブモニターみたいな形で使うため。こういう場合もNHKの受信契約は必要ですか?

NHK担当者:サブモニターとして使われていてもですね、テレビとしてご受信ができるものでありましたら、それはご契約が必要なものになります。

筆者:B-CASカード等を持っていなくても、テレビ自体を所持していたら契約が必要になるということでしょうか?

NHK担当者:たとえばアンテナとかがなくて、B-CASカードもなくて、テレビとしてまったく視聴ができないご状況でしたらお願いはできないですね。ただ、その番組が映ってしまうテレビをお持ちであれば、(受信契約は)必要なものにはなってますね。

【結論】
テレビを所持している「だけ」ならNHK受信契約は不要。番組がまったく映らない状態であれば契約は必要ない。アンテナ類、B-CASカード破棄の証明をすれば、テレビを所持していてもNHK解約可能。

【質問4】NHKを解約したら、職員が勧誘にくる?

筆者:私は十代の頃にですね、一人暮らししてるときに、テレビとかパソコンがなくて携帯もまだガラケーだったので、NHK契約してなかったんですね。

NHK担当者:はい。

筆者:で、四半期に一回くらいの頻度で職員の方、来られてたんですけど、それは私が未契約だったから来られてたということですか?

NHK担当者:そうですね。ご契約のお願いで、定期的に訪問する活動というのは行っております。職員がお伺いしてもですね、受信環境がありませんということでお話いただければ、ご契約のお願いはできないので、じゃあ設置したらお願いしますということで帰るようにはなっておりますね。

筆者:口頭で「受信環境がない」と説明しましたけど、職員の方は毎回同じことを聞くんですよ。こちらが口頭で説明した内容っていうのは、NHK社内で共有はされてないんですか?

NHK担当者:記録としては残っていると思うんですが、訪問する者、定期的に地域が変わりますので……。あと一度お伺いしたお家に二度と行かないということではないので、それで何度かお客様の自宅にお伺いする形にはなってしまうと思います。(テレビ破棄したとしても)もしかしたら今後、未来、買う可能性もあるので、そういったことで、今の現状はどうですか?とお伺いする可能性はございますね。

筆者:ああ、そういうことで来られることはあると。分かりました。

【結論】
NHKを解約すると、定期的にNHKの訪問員が受信環境の有無を確認しに来る。受信環境がないと口頭で説明しても、訪問員がコロコロ変わるので何度も同じ説明をしなくてはいけない。

ちなみに、NHK訪問員が自宅に来たとき居留守を使うと、「NHKからのご案内です」という封書をポストに突っ込まれます。私は2018年のNHK大河ドラマ「西郷どん」の駄作っぷりにキレて同年10月NHKを解約したのですが(詳しくはこの記事参照)、自宅に訪問員が来るたび居留守を使うので毎回封書を突っ込まれています。

NHKからのご案内です封筒_表
筆者の自宅ポストに突っ込まれた「NHKからのご案内」(※2020年11月)

NHKからのご案内です封筒_裏
封筒裏

封筒の中身は、NHK放送受信契約に関する各種手続きのパンフレット(両面印刷)。

NHKからのご案内です_パンフレット5
放送受信契約各種お手続きのご案内

そして、受信契約申し込み用ハガキ(三つ折り)。

NHKからのご案内です_郵送はがき表
ハガキ表

NHKからのご案内です_郵送はがき裏
ハガキ裏

ハガキ裏面に担当したNHK訪問員の印があるので、破り捨てる前に確認しておきましょう。NHKに苦情を入れるとき役立ちます。

……と、このように、NHK受信契約義務の発生は「端末の有無」ではなく、放送法第64条に基づく「受信環境の有無」によって決まります。ワンセグ対応端末を所持しているからといって、必ずしも契約が必要というわけでもないし、NHK解約するなら必ずしもiPhoneやガラケーに機種変更しなければならないわけでもありません。以上!!