映画「第七天国(7th Heaven,1927年)」のあらすじと感想【前編】

第七天国1

先日、久しぶりにサイレント映画「第七天国(7th Heaven)」を観ました。1927年制作、原作オースティン・ストロング、監督フランク・ボーゼイギ、第一回アカデミー賞脚色賞および監督賞受賞作品。今回は、今なお様々な作品に影響を与えているメロドラマの傑作「第七天国」のあらすじ、および感想など。英語学習の教材にも適しているので、キャプションの書き起こしも一緒に載せておきます。

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第七天国(7th Heaven)前編

ドゥルルルル……なドラムロールとともに現れる「7th Heaven」のタイトルバック。

そしていささか不穏なイントロダクション。

por those who will climb it, there is a ladder leading from the depths to the heights

from the sewer to the starsーーthe ladder of Courage.

In the slums of Parisーunder a street known as The Hole in the Sockーー

舞台は1990年代のパリ、スラム街。モンマルトルの下水道労働者であるチコのシーンから、この映画は始まります。下水道でせっせと働くチコ。同僚のラットが「Look, Chico!」と上を指差すと、そこにあったのは地上を歩く女性たちのスカート(の中身)。しかしチコは女性のパンツを見ることを拒否し、すぐ仕事へ戻ります。いいですねー、硬派ですねー。

すると、今度は道路清掃員のゴビンが水を捨てにやってきます。「あれは誰だ?」と不思議がるラットにチコが、「That’s monsieur Gobin, the street-washer.」と説明。そして「いつか自分もゴビンと同じ地上の道路清掃員になってやる!だって俺は特別な人間だからな!」と根拠のない自信をみなぎらせます。君、その自信は一体どこから……。

CHICO:That’s what I should be, Ratーー a street-washer! Up there in the sunshineーamong peopleーー

CHICO:After all, you know, I’m a very remarkable fellow!

チコが下水道掃除に精を出している頃、同じスラム街のボロアパートで二人の女性が揉めていました。明らかにアル中で半端ない目力の女性、名前はナナ。床に倒れ、彼女に鞭で打たれているのはその妹ディアーヌ。ナナはディアーヌに盗品を渡し、「これを換金して酒を買ってこい!」と命じます。

NANA:Stop bleating about stolen goods ー take this and bring me some absinthe!

渋々、酒を買いに行くディアーヌ。彼女が部屋を出た直後、神父シュヴィヨンがナナを訪ねてきて告げます。「貴方たちの裕福な叔父夫婦が帰ってきました。彼らは貴方たちを引き取りたいと思っていますよ」と。

CHEVILLON:You’ve come to the wrong place to spout religion!

CHEVILLON:I bring good news, my child. After all these years your aunt and uncle have returned from the South Seasー

CHEVILLON:ーHe is rich. They want to take you and your sister home.

先程まですごい顔でディアーヌを睨んでいたナナはコロッと態度を変え、「明日なら準備ができています!」とニコニコ。神父が出ていくと扉越しにフンッ!と威嚇。

NANA:Dear Father Chevillon, you have given me new hope. We will be ready tomorrow.

一方、言われるがまま盗品を換金し酒を購入したディアーヌ。酒瓶を抱えながら帰路につく途中、街頭の灯を見つめながら、うっとり……。

翌日、ナナ達が暮らすボロアパート前に、彼女の叔父夫婦とブリサック大佐の乗った馬車が到着。「まさか、こんなに近くで見つけられるとは」とジョージ叔父さん。

GEORGE:My dear Colonel Brissac, I am astonished to find my nieces in such a neighborhood!

叔父夫婦を愛想よく出迎えるナナ。叔母はそんなナナを無視して、ディアーヌの元へ向かいます。涙ぐんで抱き合う二人。感動の対面です。

DIANE:How good you smellー of sandalwoodーーand fresh linenー

DIANE:You smell of home!

その様子に嫉妬したナナは、ディアーヌの手を後ろで捻り上げます。叔父は二人に「貴方がたは今までいい子にしていましたか?」と問い、自分が引き取る価値があるか見極めようとするんですね。

GEORGE:Tell me ーhave you kept yourselves clean and decent?

二人は売春婦なので、もちろん「いい子」ではなかったのですが、ナナは「もちろんです!」と即答。そしてこれまでいかに苦労してきたかを訴えます。

NANA:Oh, yes, Uncle! And you don’t know how hard it’s been ーin a place like this!

ジョージ叔父さんはディアーヌに、「本当のことを言ってほしい」と告げます。

GEORGE:I want the truthーfrom you, Diane!

GEORGE:ーIf you and Nana haven’t been good girls, I don’t want you in my home!

ナナはディアーヌの腕をひねり上げ、彼女にも嘘を強要します。しかしディアーヌの良心がそれを拒否。女性のパンツを見ることを拒否したチコと重なるシーンですね。彼女の「No!」を聞いた叔父は財布から数枚の札を取り出し、ぽいと投げ捨てて退室。

激怒したナナに再び鞭で叩かれまくるディアーヌ。このままでは殺されると思ったのか、アパートを出てとにかく逃げまくります。が、ナナに追いつかれ排水溝近くで今度は首を締められる。まさに絶体絶命。そんなとき、偶然通りがかったチコが二人を発見。何をやってるんだ!とナナをとっ捕まえます。両手を拘束して宙ぶらりんにし、「これでもっと冷静になれるだろう」と、彼女の下半身を水にじゃぶじゃぶ。

CHICO:Now we can discuss this more calmly.

アー!と喚くナナに、「もう彼女を虐めないか?」と聞くチコ。ナナが頷くと彼女を解放。しかし、きっちり脅すことも忘れません。今度ディアーヌをいじめたらナナはフライになる運命です。

CHICO:Will you promise not to abuse this girl any more?

CHICO:If I catch you at it again. I’ll cut out your gizzard and fry it!

気絶しているディアーヌを置き去りにし、スタコラサッサと逃げ帰っていく姉。その様子をこっそり観ていたのが、タクシー運転手のボウル。

BOUL:You saved her life, Chico.

CHICO:It wasn’t worth saving, Papa Boul. A creature like that is better off dead.

チコ、ラット、ボウルはその場で昼食をとりはじめます。しかしすぐ近くで倒れているディアーヌが気になって食事に集中できず、そわそわ。チコは「パーティーを台無しにしないでくれ!」と叫びますが、それでもディアーヌは目を覚ましません。

CHICO:Don’t lie there like a dead fish and spoil our party!

チコは「Give me that violet!」と言ってラットから赤玉ねぎをもらい、それを半分に切ってディアーヌの顔の上にかざします。violetはフランスの玉ねぎの品種名らしいですね。英語のonionと同義なんですって。さあ、その玉ねぎの刺激で目が覚めるも、さんざん首を締められたせいで起き上がれないディアーヌ。見かねたチコが抱き起こし、自分達のそばに連れてきて「食べるか?」とパンを差し出します。彼女は力なく「No」。チコはそんなディアーヌを見て言います。ううーん、だから君、その自信はどこから……。

CHICO:The trouble with you is you won’t fight. You’re afraid! Me! I’m not afraid of anything! That’s why I’m a very remarkable fellow!

横でチコのセリフを聞いていたボウルが、うんうんと相づち。このチコの怒りが、そのまま神を信じているボウルに飛び火します。

CHICO:You believe in God, in a Bon Dieu who watches over usー

CHICO:Tell me, then! Did He make this girl to be beaten and strangled in the gutter? Did the Bon Dieu make me?

チコ、ラットを指差して「で、それ?」。ボウルは「誰でもミスするもんだ」と、酷い言いよう。

CHICO:And that?

BOUL:Wellーeverybody makes mistakes someties.

そこへ、偶然通りがかるシュヴィヨン神父。チコは神父の存在に気づかず、自分が無神論者になったきっかけをボウルに熱弁しています。

「俺は昔、パリの教会で5フランの蝋燭を買って『下水道から連れ出して道路清掃員にしてほしい』と祈った。だが、神はその願いを叶えてくれなかった!さらに5フラン出して蝋燭を買い、『金髪の妻がほしい』と祈った。神はその願いも叶えてはくれなかった!」

CHICO:Religionーhuh! I’ve been all through that. I gave God a fair testーiwice.

CHICO:First I chose the finest church in Parisーspent five francs for candlesー

CHICO:ーI prayed God to take me out of the sewer and make me a street-washer. Did He do it?

CHICO:Then I gave him another chanceーfive francs moreー

CHICO:I prayed for a good wife with yellow hair.

ゆえに自分は無神論者なのだと、チコは言います。

CHICO:Bah! The only thing the Bon Dieu throws in my way is a creature like that!

CHICO:That makes ten francs totally washed.

CHICO:That’s why I’m an atheistーGod owes me ten francs!

神父は笑いながらチコに近寄り、彼に道路清掃員の任命書を渡します。

CHEVILLON:I don’t believe you’re as bad as you think, my son.

CHEVILLON:This is an appointment as street-washer. It is yours, Chico, and the debt is somewhat paid.

神父はさらに、2つの宗教メダルをチコに手渡します。「神はいつか貴方を助けるかもしれない」とニッコリ。伏線いただきましたー!

CHEVILLON:And now I am going to ask you to keep theseー

CHEVILLON:Don’t scorn them, Citizen Street-Washerーthey may help you some day. Who knows?

思いがけず道路清掃員の職を手にしたチコは有頂天。神父が去ったあと、「飲もう!」と叫びます。祝杯です。

CHICO:Let’s have a drink to celebrate!

そこへ通りがかった道路清掃員のゴビン。チコは先程、神父から貰った任命書を見せて挨拶します。明日から同僚になることを祝福し合う二人。

GOBIN:Welcome, Comrade!

CHICO:I thank you, Comrade!

一方、目を覚ましてからずっと茫然自失だったディアーヌは、そばに置いてあったナイフを掴み自分を刺そうとします。が、「With MY knife! I like that!」と、間一髪でチコが阻止。まあ、自分のナイフ使って自殺されたら、えらいこっちゃですよね。

チコはナイフをポケットにしまって去ろうとします。しかしどうしてもディアーヌが気になって行ったり来たり。最終的に、彼女の隣に座り「なぜナイフで自分を刺そうとしたんだ」と話を聞いてあげるのでした。「希望がないと生きていけない」と、今にも死にそうな顔のディアーヌ。

CHICO:Why did you want to take your life?

DIANE:Because I cannot go on living this wayーwithout hope.

CHICO:Well, if you don’t like what you are, you’re not bad.

CHICO:You know, I’m getting sorry for you!

CHICO:There I go again! Always saying the thing I don’t mean to say!

ディアーヌは、ぱぱぱっと自分の荷物を拾って姉の待つボロアパートに帰ろうとします。少し歩いて街灯にもたれかり、軽く絶望していると、警官に連行中の姉が、「あの子も連れて行って!」と喚く喚く。

NANA:That’s my sister! She’s no better than I am. Take her, too!

連行されそうになるディアーヌの手をとったチコ。彼は咄嗟に「She’s my wife!」と嘘をつき彼女をかばいます。警官はチコから住所を聞き出し、「嘘をついていたら貴方も罰をうける」と忠告。

POLICE:Your address will be investigated If you’re lying, you’ll get in trouble.

何度も頷く、頼もしいチコ。しかしナナが連れて行かれたあと頭を抱えて半狂乱に。チコが恐れているのは嘘がバレて、せっかく得た道路清掃員の職を失うことでした。ディアーヌは「警察が来るまで貴方の家に泊まる。警察が来たら出ていくわ」と提案。

CHICO:Now why did I do that? Oh, I am ruined!

CHICO:They’ll come to my house and find I have no wife. Then I’ll lose my job as street-washer!

DIANE:Couldn’t I stay at your house until the police come? Then I’d go away.

その提案に喜色を浮かべて立ち上がるチコ。嬉しさあまってディアーヌの頭をポンポンします。ディアーヌは涙を浮かべ、命の恩人であるチコの手にキス。

CHICO:You have a great head!

DIANE:Youーyou have a great heart!

キスされた手をズボンでぬぐうのは、たとえ照れ隠しでもひどい(ひどい)。そこへボウルが戻ってきます。チコは「妻」の肩を抱き、ボウルに「Crank up Eloise!」とタクシーの用意を命じます。そして新妻ディアーヌを紹介。そう、理由はどうあれ、今日から彼女は「マダム・チコ」なのです。理由はどうあれね。

CHICO:Allow me the honor of presenting you to Madame Chico, my good wife!

ニヤニヤするボウル。その腹を小突くチコ。中々エンジンがかからなかったり、大量の煙を吐き出したり、いきなり後進したりするオンボロタクシー。ボウルは「彼女(※タクシー)が心変わりする前に乗って!」と二人を促します。

BOUL:Get in before Eloise changes her mind!

チコ、ディアーヌをエスコートしながら車の後部座席に乗り込みますが、きっちり念押しすることも忘れません。

CHICO:Remember, you mustn’t take this seriously. You’re not going to take advantage of me?

首を横に振るディアーヌ。そして二人はタクシーでチコが下宿しているアパートへ。

CHICO:Make a tour of the boulevardsーーthen home. Tonight I am the Bank of France!

さあ、オンボロタクシーに乗り込んで二人が向かったアパートは、一体どんな場所なのでしょうか。そして、なりゆきで疑似夫婦となったチコとディアーヌはこの後どうなるのでしょうか。ハリウッドのロマンスは昔から王道をゆくので、つまりはまぁ……そういうことです!というわけで、【中編】に続く!

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