私は「掃除の手間が増えるから自宅内に物を増やしたくない!」という、いわゆるミニマリストなので、ペンタブレットを使わず、普段はマウスでゴリゴリ絵を描いています。
私が普段描いているのは「厚塗り」「油彩」タッチの絵。静物画は面白くないで、いつも描くのは人物画ばかり。塗りの参考にしているのはフェルメールとマティス。マティス(フォーヴィスム)の力強いタッチを取り入れながら、フェルメール的な厚塗りをするのが好きです。要は、両者の良いとこ取りですね。
参考画像:フェルメール「青いターバンの少女」(左)と、マティス「帽子の女」(右)
マウスとGIMPの厚塗りブラシだけでフェルメールの青いターバンの少女を模写すると、こんな感じになります。ペンタブを使うよりざっくりしたタッチで、なかなか味のある絵が描けます。
贋作感がすごい
関連マウスとGIMPの厚塗りブラシだけで「青いターバンの少女」を模写
マウスで描いた人物画その2。
マウスで描いた人物画その3。
今回はこの「マウスとGIMPを使い、厚塗りで似顔絵を描く方法」の工程を解説してみたいと思います。
目次
完成図
完成した似顔絵がこちら。製作時間は約30分。今回は明暗が分かりやすいよう無彩色のみを使用しています。
工程をざっくり説明すると、まず全体のアタリをとり、影を入れながら肌色を入れ、ハイライトを入れ、目や唇を書き込み、最後に全体のバランスを整えながら細部を修正する。この工程をリンゴで説明すると、こう!!
■厚塗りの工程(基本)
GIMPとキャンバス設定
今回使うペイントソフトは「GIMP2」です。以前はIllustratorやPhotoshopを使っていたのですが、いかんせんメモリを食って動作がもっさりするので、ちょっとした趣味絵を描くときは軽量なGIMPを使うようにしています。
絵を描くときのキャンバス色は基本何色でも良いのですが、今回はモノクロ絵なので白にしました。
使用したブラシはPhotoshop用に無料配布されている「Zummerfish’s Acrylic Brushes」。その中にある「001」です。タッチはこんな感じ
▼ブラシダウンロードはこちらのサイトから
Zummerfish’s Acrylic Brushes for Photoshop
配布サイトからダウンロードしたabrファイルを「C:/ユーザー/ユーザー名/.gimp-2.8/brushes」に入れ、GIMPのブラシウィンドウを開いて右クリックし「ブラシの更新」を押せば、新しいブラシが追加されます。 油彩タッチな無料Photoshop専用ブラシ(拡張子.abr)は他にも配布されているので、いくつかGIMPの中に入れておくといいかも。
■ブラシ設定
Zummerfish’s Acrylic Brushes のブラシを使うにあたり、設定を少し変更。まずブラシの間隔を5から1にします。
描画モードや不透明度はデフォルトのまま。
動的ストロークを「Basic Dynamic」に変更し、手ぶれ補正にチェック。
これでブラシ設定が完了!さっそく似顔絵を描いていきましょう!
厚塗りで似顔絵を描いていくよ
工程1 アタリを取る
マウスとGIMPで厚塗り絵を描くにあたり、まず最初にやることは絵の「アタリ」を取ることです。厚塗り絵と一口に言っても、
- 物凄く細かく下書きをしてから着色に入る場合
- ざっくりアタリを取り、着色しながらモデリングする場合
の、2通りの描き方があります。私が普段マウスでやっているのは2の方法。ざっくり過ぎるほどざっくりとアタリを取り、そこに少しずつ色を置きながらモデリング。色同士を馴染ませながら着色し、激しいタッチはそのまま残して、あえて「イラストっぽさ」を残すという描き方です。
ではさっそく似顔絵を描いていきましょう!まずGIMPを開き、前述したブラシ設定を済ませたら白色レイヤーを1枚追加。使用するレイヤーはこの1枚のみです。このレイヤーをキャンバスに見立て、描画色:黒でモデルとなる人物のアタリをとってみます。
アタリを取るときは、ブラシのサイズ・描画色をこまめに変えるのが上手く仕上げるコツ。髪を描くときはブラシサイズを大きめ(40~60px)にし、輪郭・目・鼻・唇あたりは小さめ(15~20px)にする。そして光が当たっている箇所はグレー、影になっている箇所は黒、といった具合に描画色を変えながら、軽く陰影をつけるイメージでモデリングしていきます。
工程2 ざっくりと色を乗せる
アタリを取ったら、次はざっくりと色を乗せてより細かい陰影をつけていきます。このとき、目・眉・鼻・唇の大まかな位置も決めていきます。
モデルの顔全体に色を乗せるとこんな感じになりました。顔っぽい何かが出来てきましたね。
マウスで長い線を描こうとするとすぐに手がブレてヨレヨレ線になるので、ブラシで色を乗せるときは、できるだけ短いストロークでシュッシュッと描くようにするのがオススメです。
工程3 目と眉を描き込む
次は目と眉を描き込んでいきます。カクカクとした目の形に丸みを与え、眉の位置も修正。
黒目の中にホワイトを入れるのも忘れずに。
工程4 唇を描き込む
目の次は唇です。輪郭がぼんやりしていた唇をクッキリ、ふっくらとさせます。唇を大きく描きすぎても、後で修正すれば大丈夫。
工程5 服を描き込む
次は、服を描き足していきます。正面から見たときにバランスよく見えるよう肩幅を調整。
工程6 細部を修正して完成!
向かって右の輪郭がぼやけていたので、ここに影を足します。バランスを整えるために少し髪を増やし、諸々の微修正を加えてやれば、厚塗り似顔絵の完成!ててーん!!
厚塗りをするときはブラシのストロークを変えながら描くと、絵に動きが出てより立体的になります。今回描いた似顔絵のストロークの流れはこんな感じ。
ストロークが一方向だと平面的な絵になってしまうので、色を乗せるときはブラシを縦・横・斜めと動かしながら描く。ここを意識するだけで、かなり厚塗りっぽい仕上がります。
もう少し写実的な絵にしたいときは、さらに細かく色同士を馴染ませていきます。生々しさがアップするので、よりリアルな絵になりますよ!
GIMPのブラシとマウスのみを使い、水彩画やキャラ絵を描く方法は、以下の記事にまとめています。