5分で分かる映画「第七天国(7th Heaven,1927年)」

1927年制作、原作オースティン・ストロング、監督フランク・ボーゼイギ、第一回アカデミー賞脚色賞および監督賞受賞作品。今なお様々な作品に影響を与えているメロドラマの傑作、映画「第七天国(Seventh Heaven)」のあらすじです。映画を観る時間がない人向け。

映画「第七天国(7th Heaven,1927年)」

ドゥルルルルなドラムロールとともに現れる「Seventh Heaven」のタイトルバック。そしていささか不穏なイントロダクション。

por those who will climb it, there is a ladder leading from the depths to the heights ーfrom the sewer to the starsーーthe ladder of Courage.

In the slums of Parisーunder a street known as The Hole in the Sockーー

舞台は1990年代のパリ、スラム街。モンマルトルの下水道労働者であるチコ(チャールズ・ファレル)のシーンから、この映画は始まります。

下水道でせっせと働くチコ。同僚のラットが「Look, Chico!」と上を指差すと、そこにあったのは地上を歩く女性たちのスカートの中身。

「はぁ~」とため息を吐いてチコは仕事に戻ります。すると、今度は道路清掃員のゴビンが下水道に水を捨てにくる。「あれは誰だ?」と不思議がるラットにチコが「That’s monsieur Gobin, the street-washer.」と説明。そして「いつか自分もゴビンと同じ地上の道路清掃員になってやる!だって俺は特別な人間だからな!」と根拠のない自信をみなぎらせます。

CHICO:That’s what I should be, Ratーー a street-washer! Up there in the sunshineーamong peopleーー

CHICO:After all, you know, I’m a very remarkable fellow!

チコが下水道掃除に精を出している頃、同じスラム街のボロアパートで二人の女性が揉めていました。明らかにアル中ですごい目力の女性、名前はナナ。床に倒れ、彼女に鞭で打たれているのはその妹ディアーヌ。ナナはディアーヌに盗品を渡し、「これを換金して酒を買ってこい!」と命じます。

NANA:Stop bleating about stolen goods ー take this and bring me some absinthe!

渋々、酒を書いに行くディアーヌ。彼女が部屋を出た直後、神父シュヴィヨンがナナを訪ねてきて告げます。「貴方たちの裕福な叔父夫婦が帰ってきました。彼らは貴方たちを引き取りたいと思っていますよ」と。

CHEVILLON:You’ve come to the wrong place to spout religion!

CHEVILLON:I bring good news, my child. After all these years your aunt and uncle have returned from the South Seasー

CHEVILLON:ーHe is rich. They want to take you and your sister home.

先程まですごい顔でディアーヌを睨んでいたナナはコロッと態度を変え、「明日なら準備ができています!」と微笑んで神父を送り返します。

NANA:Dear Father Chevillon, you have given me new hope. We will be ready tomorrow.

一方、言われるがまま盗品を換金し酒を購入したディアーヌ。酒瓶を抱えながら帰路につく途中、街頭の灯を見つめながら、うっとり……。

翌日、ナナ達が暮らすボロアパート前に、彼女の叔父夫婦とブリサック大佐の乗った馬車が到着。「まさか、こんなに近くで見つけられるとは」とジョージ叔父さん。

GEORGE:My dear Colonel Brissac, I am astonished to find my nieces in such a neighborhood!

叔父夫婦を愛想よく出迎えるナナ。叔母はそんなナナを無視して、ディアーヌの元へ向かいます。涙ぐんで抱き合う二人。感動の対面です。

DIANE:How good you smellー of sandalwoodーーand fresh linenー

DIANE:You smell of home!

その様子に嫉妬したナナは、ディアーヌの手を後ろで捻り上げます。叔父は二人に「貴方がたは今までいい子にしていましたか?」と問い、自分が引き取る価値があるか見極めようとするんですね。

GEORGE:Tell me ーhave you kept yourselves clean and decent?

二人は売春婦なので、もちろん「いい子」ではなかったのですが、ナナは「もちろんです!」と即答。そしてこれまでいかに苦労してきたかを訴えます。

NANA:Oh, yes, Uncle! And you don’t know how hard it’s been ーin a place like this!

ジョージ叔父さんはディアーヌに、「本当のことを言ってほしい」と告げます。

GEORGE:I want the truthーfrom you, Diane!

GEORGE:ーIf you and Nana haven’t been good girls, I don’t want you in my home!

ナナはディアーヌの腕をひねり上げ、彼女にも嘘を強要します。しかしディアーヌの良心がそれを拒否。「No!」を聞いた叔父は財布から数枚の札を取り出し、ぽいと投げ捨てて部屋を退室。

激怒したナナに再び鞭で叩かれるディアーヌ。このままでは殺されると思ったのか、アパートを出てとにかく逃げまくります。が、ナナに追いつかれ排水溝近くで今度は首を締められる。まさに絶体絶命。

そんなとき、偶然通りがかったチコが二人を発見。何をやってるんだ!とナナをとっ捕まえます。両手を拘束して宙ぶらりんにし、「これでもっと冷静になれるだろう」と、彼女の下半身を水にじゃぶじゃぶ。

CHICO:Now we can discuss this more calmly.

アー!と喚くナナに、「もう彼女を虐めないか?」と聞くチコ。ナナが頷くと彼女を解放。しかし、きっちり脅すことも忘れません。今度ディアーヌをいじめたらナナはフライになる運命です。

CHICO:Will you promise not to abuse this girl any more?

CHICO:If I catch you at it again. I’ll cut out your gizzard and fry it!

気絶しているディアーヌを置き去りにし、スタコラサッサと逃げ帰っていく姉。その様子をこっそり観ていたのが、タクシー運転手のボウル。

BOUL:You saved her life, Chico.

CHICO:It wasn’t worth saving, Papa

Boul. A creature like that is better off dead.

チコ、ラット、ボウルはその場で食事をはじめます。しかしすぐ近くで倒れているディアーヌが気になって食事に集中できず、そわそわ。チコは「パーティーを台無しにしないでくれ!」と叫びますが、それでもディアーヌは目を覚ましません。

CHICO:Don’t lie there like a dead fish and spoil our party!

チコは「Give me that violet!」と言ってラットから赤玉ねぎをもらい、それを半分に切ってディアーヌの顔の上にかざします。強烈な刺激のおかげで目が覚めるも、さんざん首を締められたせいで起き上がれないディアーヌ。見かねたチコが抱き起こし、自分達のそばに連れてきて「食べるか?」とパンを差し出します。彼女は力なく「No」。チコはそんなディアーヌを見て言います。

CHICO:The trouble with you is you won’t fight. You’re afraid! Me! I’m not afraid of anything! That’s why I’m a very remarkable fellow!

横でチコのセリフを聞いていたボウルが、うんうんと相づち。このチコの怒りが、そのまま神を信じているボウルに飛び火します。

CHICO:You believe in God, in a Bon Dieu who watches over usー

CHICO:Tell me, then! Did He make this girl to be beaten and strangled in the gutter? Did the Bon Dieu make me?

チコ、ラットを指差して「で、それ?」。ボウルは「誰でもミスするもんだ」と、酷い言いよう。

CHICO:And that?

BOUL:Wellーeverybody makes mistakes someties.

そこへ、偶然通りがかるシュヴィヨン神父。チコは神父の存在に気づかず、自分が無神論者になったきっかけをボウルに熱弁しています。

「俺は昔、パリの教会で5フランの蝋燭を買って『下水道から連れ出して道路清掃員にしてほしい』と祈った。だが、神はその願いを叶えてくれなかった!さらに5フラン出して蝋燭を買い、『金髪の妻がほしい』と祈った。神はその願いも叶えてはくれなかった!」

CHICO:Religionーhuh! I’ve been all through that. I gave God a fair testーiwice.

CHICO:First I chose the finest church in Parisーspent five francs for candlesー

CHICO:ーI prayed God to take me out of the sewer and make me a street-washer. Did He do it?

CHICO:Then I gave him another chanceーfive francs moreー

CHICO:I prayed for a good wife with yellow hair.

ゆえに自分は無神論者なのだと、チコは言います。

CHICO:Bah! The only thing the Bon Dieu throws in my way is a creature like that!

CHICO:That makes ten francs totally washed.

CHICO:That’s why I’m an atheistーGod owes me ten francs!

神父は笑いながらチコに近寄り、彼に道路清掃員の任命書を渡します。

CHEVILLON:I don’t believe you’re as bad as you think, my son.

CHEVILLON:This is an appointment as street-washer. It is yours, Chico, and the debt is somewhat paid.

神父はさらに、2つの宗教メダルをチコに手渡します。「神はいつか貴方を助けるかもしれない」とニッコリ。

CHEVILLON:And now I am going to ask you to keep theseー

CHEVILLON:Don’t scorn them, Citizen Street-Washerーthey may help you some day. Who knows?

思いがけず道路清掃員の職を手にしたチコは有頂天。神父が去ったあと、「飲もう!」と叫びます。祝杯です。

CHICO:Let’s have a drink to celebrate!

そこへ通りがかった道路清掃員のゴビン。チコは先程、神父から貰った任命書を見せて挨拶します。明日から同僚になることを祝福し合う二人。

GOBIN:Welcome, Comrade!

CHICO:I thank you, Comrade!

一方、目を覚ましてからずっと茫然自失だったディアーヌは、そばに置いてあったナイフを掴み自分を刺そうとします。が、間一髪でチコが阻止。まあ、自分のナイフ使って自殺されたら、えらいこっちゃですよね。

CHICO:With MY knife! I like that!

チコはナイフをポケットにしまって去ろうとします。しかしどうしてもディアーヌが気になって行ったり来たり。最終的に、彼女の隣に座り「なぜナイフで自分を刺そうとしたんだ」と話を聞いてあげるのでした。「希望がないと生きていけない」と、今にも死にそうな顔のディアーヌ。

CHICO:Why did you want to take your life?

DIANE:Because I cannot go on living this wayーwithout hope.

CHICO:Well, if you don’t like what you are, you’re not bad.

CHICO:You know, I’m getting sorry for you!

CHICO:There I go again! Always saying the thing I don’t mean to say!

ディアーヌは、ぱぱぱっと自分の荷物を拾って姉の待つボロアパートに帰ろうとします。少し歩いて街灯にもたれかり、軽く絶望していると、警官に連行中の姉が、「あの子も連れて行って!」と喚く喚く。

NANA:That’s my sister! She’s no better than I am. Take her, too!

連行されそうになるディアーヌの手をとったチコ。彼は咄嗟に「She’s my wife!」と嘘をつき彼女をかばいます。警官はチコから住所を聞き出し、「嘘をついていたら貴方も罰をうける」と忠告。

POLICE:Your address will be investigated If you’re lying, you’ll get in trouble.

何度もうなづくチコ。とても堂々としていたのに、ナナが連れて行かれたあと彼は頭を抱えて半狂乱に。チコが恐れているのは嘘がバレて、せっかく得た道路清掃員の職を失うことでした。ディアーヌはチコに「警察が来るまで貴方の家に泊まる。警察が来たら出ていくわ」と提案。

CHICO:Now why did I do that? Oh, I am ruined!

CHICO:They’ll come to my house and find I have no wife. Then I’ll lose my job as street-washer!

DIANE:Couldn’t I stay at your house until the police come? Then I’d go away.

その提案に喜色を浮かべて立ち上がるチコ。嬉しさあまってディアーヌの頭をポンポンします。ディアーヌは涙を浮かべ、命の恩人であるチコの手にキス。

CHICO:You have a great head!

DIANE:Youーyou have a great heart!

キスされた手をズボンでぬぐうのは、たとえ照れ隠しでもひどい(ひどい)。そこへボウルが戻ってきます。チコは「妻」の肩を抱き、ボウルにタクシーの用意を命じます。

CHICO:Crank up Eloise!

BOUL:Crank up Eloise!

(※車が動かない)

BOUL:Optimist!

やっとエンジンがかかると、チコがボウルにディアーヌを紹介。今日から彼女は「マダム・チコ」です。

CHICO:Allow me the honor of presenting you to Madame Chico, my good wife!

ニヤニヤするボウル。その腹を小突くチコ。中々エンジンがかからなかったり、大量の煙を吐き出したり、いきなり後進したりするタクシー。ボウルは「彼女(※タクシー)が心変わりする前に乗って!」と二人を促します。

BOUL:Get in before Eloise changes her mind!

チコ、ディアーヌをエスコートしながら車の後部座席に乗り込みますが、きっちり念押しすることも忘れません。

CHICO:Remember, you mustn’t take this seriously. You’re not going to take advantage of me?

首を横に振るディアーヌ。そして二人はタクシーでチコが下宿しているアパートへ。

CHICO:Make a tour of the boulevardsーーthen home. Tonight I am the Bank of France!

短いドライブのあと、下宿先に到着。アパートの長い螺旋階段を上がって行く二人をカメラが長回しで撮影しています。このワンショットはとても有名なシーンですよね。7階にあるチコの部屋へ到着した途端、ディアーヌは感動で言葉を失いますが、彼はそれをみて「俺は下水道で働いてるが、星の近くに住んでいるんだ!」と。

CHICO:Not bad, eh? I work in the sewerーbut I live near the stars!

あまりの感動でハアハアしているディアーヌ。そう、彼女にとってこの部屋は「It’s wonderfull.」すぎたのです。こっちへおいで、とチコがディアーヌを窓辺へエスコート。そこに広がっていたのはパリの街と満天の星空。夜風に髪を揺らしながら、感極まったディアーヌが叫びます。

DIANE:It’s Heaven!

窓辺から伸びている細い板を渡り、向こう側のアパートへ行こうとするチコ。「おいで」と手を伸ばされるも、ディアーヌは足がすくんで進めません。手を引かれ、恐る恐る渡ろうとしますが、下を見てしまい部屋に逆戻り。臆病なディアーヌに、チコは「恐れてはダメだ」と言い聞かせます。夜空を指差し、「決して下を見るな、いつも上を向け!」。先程の、延々上へ向かう7階までのワンショットも、この「Always look up!」の表現だったんですね。

CHICO:You mustn’t be afraid I’m never afraid.

CHICO:Never look downー

CHICO:ーAlways look up!

CHICO:I always look up. That’s why I’m a very remarkable fellow!

CHICO:It’s wonderful the things I feelーーーsometimes I could reach out and touch a star!

そのあと、チコがおもむろにベッドの用意をし始めたので、おろおろするディアーヌ。彼は向かいのアパートに住むゴビンの妻から女用の寝間着を借てきて渡し、着替えるように言います。チコが水を汲みに行った間に寝間着へ着替え、ベッドの中で寝たふりをして周囲の様子をうかがっていたディアーヌは、チコが床で寝るのを確認してほっと一安心。微笑んで眠りにつきます。

翌朝、先に目覚めたディアーヌは朝食の準備をしてチコを待ちます。いささかぎこちない「おはよう」の挨拶。顔を洗っているチコの後ろで、上着を持って待ち構えているディアーヌが可愛い。用意された朝食をもりもり食べるチコ、ディアーヌが淹れたコーヒーが熱くて飲めないの可愛い。

少しいい雰囲気が漂うも、彼が「警察が来たらちゃんと出ていけよ!」とまた念を押すので、彼女の顔から笑みが消えます。チコの悪態は単なる照れ隠しなんですが、ディアーヌはその辺の男心が分からないので、真に受けてしょんぼり。

CHICO:Women are all alikeーthey try to reach a man through his stomachー

CHICO:but you can’t get around me. After the police come, you go!

そんな時、今日から同僚となるゴビンがベランダから侵入してきます。下水道労働者から道路清掃員にランクアップしたので、彼の中のチコの立場が「隣人」にランクアップしたようです。

GOBIN:Now that you’ve climbed out of the sewer, Comrade, I can recognize you as a neighborーー

GOBIN:ーーPermit me to escort you to the hose.

男二人はそのまま連れ立って仕事へ向かおうとします。しかしゴビンが「奥さんへの挨拶を忘れているよ」と余計な気を回すので、チコはディアーヌへキスする羽目になります。ゴビンに怪しまれないよう、渋々キスをするチコ。その後また「いつまでもここにいられると思うな!」と念を押してくるので(※照れ隠しです)、ディアーヌも「OKOK」と、やや呆れ気味。

GOBIN:You forgot to kiss your wife goodbye.

CHICO:I didn’t mean it! Don’t think you can stay!

この時点でチコに惚れていたディアーヌはキスが相当嬉しかったようで、有頂天。二人を見送った後、すぐに窓辺へ行き、昨日渡れなかった板を渡ろうとします。「怖れるな!上を向け!」というチコの言葉を思い出し、無事渡れて得意満面。

数日経過し、かなり打ち解けた様子のチコとディアーヌ。髪を切ったり切らせたりするほどには距離が縮まったようです。そこへ訪ねてくる怪しい老人。彼は自分を「私立探偵」と名乗り、チコを尋問。そう、とうとう「その時」が来てしまったのです。

老人:I am a police detectiveー

老人:Is that your wife?

確認が終わり、老人が去っていくと、ディアーヌもハサミを置いて最初の約束通り部屋を出ていこうとします。ここでチコが「別に邪魔じゃない」と遠回しにディアーヌを引き止める。

CHICO:ーIf you want to stayーyou’re not in my way.

チコのお許しが出て、ディアーヌの泣き顔が笑い顔に。ハサミ持ってきてまたチコの髪を切りながら、彼女は言います。

DIANE:Chico, I believe in the Bon DieuーI believe He brought you to me.

CHICO:Don’t bother your head about such big thoughts. Leave them to me.

後日、「第七天国」でチコの上着を繕っているディアーヌ。できあがった上着を椅子の背にかけ、袖を自分に巻きつけて匂いをかいだり、恋する乙女全開。そこへ帰宅したチコ、彼は腕に大きな包みを抱えていました。一つは花の植木鉢。そしてもう一つはウエディングドレスの箱。

DIANE:It looks like a wedding dress.

誰がどうみてもウエディングドレスです。ディアーヌは喜びますが、次第にその顔が曇っていき……。

CHICO:Dont’t you want to marry me?

DIANE:But you never saidーyou love me.

そう!ディアーヌはチコに一度も「好きだ」とか「愛している」と言われたことがないのです。

DIANE:Couldn’t you say itーjust once?

CHICO:I cant’t say it! It’s too silly.

ディアーヌに乞われ、言葉にしようとするも「できない!」。彼女があまりにも寂しそうな顔をするので「Well, this way thenー……」と妥協案です。

CHICO:(自分の胸に手を当てて)Chicoー
(ディアーヌに手を差し伸べて)ーDianeー
(両手を広げて)ーHeaven!

「チコ、ディアーヌ、天国!」と言われ、嬉しそうなディアーヌ。「もう一度!」とおねだりするとき、目がキラキラしているのが猛烈に可愛いです。

DIANE:Say it again!

CHICO:ChicoーーDianeーーHeaven!

ディアーヌが「結婚式は教会で挙げるの?」と聞くと、チコは即座に「ノー!」。まあ、本人も言ってますが、彼は無神論者なのでね……。

DIANE:Are we going to be married in church?

CHICO:Noーcertainly not!

CHICO:I am an atheistー I walk alone!

チコが椅子に座ると、尻に何かが当たりました。それは上着に入れていた宗教メダル。彼はあまりのタイミングのよさにギクリとしますが、無神論者ゆえに「偶然だ!」と自身に言い聞かせています。偶然かなー偶然なのかなー?

CHICO:No religious medals can frighten me! It’s only a coincidence.

二人がイチャイチャしていると、「準備はできてるか?」と窓からゴビンが。

彼は、妊娠中で寝たきりのマダム・ゴビンのためにディアーヌが作ってあげたスープを取りに来たのでした。ディアーヌはスープの入った片手鍋とウエディングドレスの箱を抱え、窓から隣アパートへ行こうとします。それを見て慌てたのがチコ。「おい!」と引き止めるチコに、晴れ晴れとした顔でディアーヌは言います。「私は二度と怖れないわ!」。

DIANE:I’m not afraid.

DIANE:I’ll never be afraid again!

「第七天国」に残されたチコとゴビン。ゴビンはディアーヌがいなくなったので、戦争の話を切り出します。パリでは第一次世界大戦の一般徴兵(国家総動員)が行われており、もちろん二人も戦場へ行かなくてはいけません。ゴビンは「1時間以内に出発しなければ……」と暗い顔をし、妻との別れを済ますため、一旦自分のアパートへ戻ります。

GOBIN:I’ve said nothing to the women, butーーit’s come, Comrade, the war!

GOBIN:Our regiment is on the first list. We leave within the hour.

CHICO:You’re right, Comrade! We must defend our homesーーーand our women!

黙々と荷造りをしているチコの元へ、ウエディングドレスに着替えたディアーヌが戻ってきます。窓から入ってくる美しいディアーヌを見て、ぱぁ!っと顔を輝かせるチコ。感極まってキスしようとするも、軍隊の足音がそれを思い留まらせます。彼はディアーヌを抱きしめ、ここで初めてストレートな愛の告白をするのでした。

CHICO:Diane, I love you!

DIANE:At last! You’ve said it all by yourself!

「やっと言ってくれた!」と喜びつつ、しかし幸福に慣れていないディアーヌの胸はキリリと痛みます。「おかしいわ、胸が痛いのよ!」……なんて可愛い台詞でしょう。

DIANE:I’m not used to being happyー

DIANE:ーIt’s funnyーit hurts!

チコはディアーヌに徴兵の件を伝え、ゴビンとともにすぐに出なければならないことを明かします。そして、「怖い!」と言いながら彼女の腰にしがみつきます。

CHICO:Dianeー I have terrible news! Gobin and I leave at once! War has come!

CHICO:I’m afraid!

戦争に怯え、弱音を吐くチコ。ディアーヌはそんな彼を叱咤します。「決して下を見ない!いつも上を向くの!」。二人の立場がここで逆転するの最高ですね。

DIANE:Never look downー always look up!

ディアーヌは尚もチコの真似をし、彼を励まし続けます。

DIANE:See what you’ve made of meー

DIANE:I, too, am a very remarkable fellow!

時間がないため、結婚式をあげることもできない二人。チコは宗教メダルを取り出し、「今ここで結婚しよう!」と提案。二度も神に裏切られたがゆえに無神論者となったチコは、ここで「もう一度、神にチャンスを与える」のです。

CHICO:How can I leave youーand now we haven’t even time for a wedding.

CHICO:I have it! We will marry nowーhere!

CHICO:I am an atheistーbut I’ll give God one more chance.

CHICO:Monsieur le Bon Dieu, if there is any truth in the idea of You, please make this a ture marriage.

宗教メダルをお互いの首にかけ、二人は宣誓。

CHICO:I take you, Diane, for my wife.

DIANE:I take you, Chico, for my husbandーforever.

CHICO:Now we’re married.

「Madame Chico!」と言いながらディアーヌを抱きしめるチコ。二人の体格差が最高です。しかし幸福な時間は続きません。自身も妻との別れをすませたゴビンが再び窓からやってきて「Hurry!」とチコを急かしたからです。

GOBIN:Hurry, Comrade, we must be at the station in fifteen minutes.

荷物を持って部屋を出るチコ。見送りに行こうとするディアーヌを制し、「俺は毎日11時に君を想う」と彼女に語りかけます。同じ時間に祈ることで、離れていても共にあろうとするんですね。無神論者だとか言ってた人間が……。

CHICO:Stand stillーdon’t moveーI want to see you this way lastーー

CHICO:ーLet me fill my eyes with you!

CHICO:Every day at this hourーeleven o’clockーI shall come to you.

チコが部屋を出たあと、脱力してヘナヘナしゃがみ込むディアーヌ。そこへやってきたのが姉のナナ。そう、彼女はチコがいなくなるその時を狙っていたのです。

NANA:I’ve been hiding in the hall till your sewer man left. So the war’s got him!

ナナは、ドレスを着ているディアーヌを鼻で笑い、宗教メダルを引きちぎります。取り返そうと彼女に掴みかかるディアーヌ。鞭で打たれても怯まず、逆に鞭を奪ってナナを叩きまくり。いいぞ、もっとやれ!宗教メダルを取り戻し、ナナを「第七天国」から追い出したディアーヌは窓辺で高らかに勝利宣言。「チコ、私は勇敢よ!」と。

CHICO:Chico! Chico! I am brave!

さて、ここから映画は後半戦に突入します。「第七天国」でのチコとディアーヌの交流を描いた前半からガラリと雰囲気が変わり、二人はやがて戦争の騒乱に巻き込まれていくことになります。画面に現れたのは、第一次世界大戦の戦況を伝えるキャプション

Invading armiesーーgray-coated hordes that stretched half-way across Europeーa tidal wave of death rolling relentlessly down upon Paris.

The enemy’s outridersーscouting ahead of the advancing troops.

司令部では、将校たちが作戦会議をしています。

将校:Only thirty miles awayーsweeping down like an avalanche! Paris is doomed!

将校2:Sir, the enemy has crossed the Marneーour line is in danger! General Joffre asks for every man you can send!

将校:Commandeer all taxicabs, private cars, omnibusesーeverything on wheels with a motorー

将校:ーOrder out the garrison troopsーget every soldier in Paris and start them to the Front!

と、このように、第一次世界大戦中はパリの30マイル近くまで迫ったドイツ軍を迎え撃つため、ガリエニ将軍の発案でパリ市内のタクシーが兵員輸送の為に徴発されました。そしてやがてマルヌ会戦に至ります。もちろんボウルの愛車も徴発されることになります。彼は「この車は古すぎる!」と抵抗しますが、軍はお構いなし。

BOUL:Name of a dog! Get out! Eloise is too old to go to war!

BOUL:Pigs! For two sous I would let you walk to the war!

重火器の音が聞こえて、暗い顔をするマダム・ゴビン。ディアーヌは彼女を気丈になぐさめます。二人はパリで夫の無事を願うことしかできません。

MADAM GOBIN:It’s the guns! They rumble closer every day. I pray my husband and Chico are safe.

シーン変わって戦場。フランス軍の兵がタクシーで突入し、それを見たドイツ軍が驚愕しています。ボウルは「パリのタクシー運転手には誰も勝てない!」と嘯きます。

ドイツ軍:They’re on our heels! The whole French armyーin taxicabs!

BOUL:Run, fools! No army in the world can beat the taxi drivers of Paris!

しかしその直後、彼の愛車が爆発。思わず頭を抱えて泣き崩れるボウル。

BOUL:My poor Eloise! She gave her life for France!

その頃、ディアーヌは軍需工場で働いていました。彼女にご執心なブリサック大佐を無視して、黙々と仕事をしています。

DIANE:Colonel Brissac, I wish you wouldn’t come here.

BRISSAC:Listen to me, Diane. The world is upside downー ideals, beliefs,traditions, all in the discard!

BRISSAC:What do the old rules matter now? Each day may be our last. Let me take care of you!

私達はそれぞれの場所で戦っている、と言い放つディアーヌ。

DIANE:Chico fights at the FrontーI fight here in a munitions factoryー

DIANE:ーWe are shoulder to shoulderーthat is all that matters.

シーン変わって戦場、無心でじゃがいもを向 剥いているゴビン。チコはまた根拠のない自信をみせています。

CHICO:If this war lasts long enough, I’ll be a general!

ラットが肉を盗み、それをみんなでむしゃぶりついているとき、時計が11時を差します。

ゴビンが「Be quiet! He’s talking to his wifeーーevery morning at eleven it’s the same.」と静かにするよう仲間に注意。チコは今日も、パリにいるディアーヌを思って宗教メダルを抱きしめ、心のなかで唱えます。そしてディアーヌも同じ時刻、軍需工場で宗教メダルを抱きしめ祈っていました。

CHICO:Chicoー ーDianeー ーHeaven!

DIANE:Chicoー ーDianeー ーHeaven!

時は流れて四年後。キャプションでは「Day after dayーyear after yearー」となっています。相変わらず軍需工場で働いているディアーヌ。一方、チコは塹壕の中にいました。

CHICO:We’ll wash them downーfight their fire with fire! Gobin and I have handled the house before.

塹壕から出ていくチコたち。火炎放射器で火を出しながら前進。火を水で消している時、爆弾がきてチコが倒れます。ラットはチコに水を飲まそうと水筒を取り出すも、中身は空。ドッカンドッカン爆弾が破裂する中、水樽をとりに穴から出るラット。

このときチコは爆発の影響で失明していました。手探りで宗教メダルを抱きしめるチコ。
ここにいると危ないと判断したゴビンは、チコを背負って穴から這い出て、匍匐前進。ひいひい言いながら塹壕に戻ると、そこには神父がいました。

仲間にチコを預け、自分も塹壕の中へ戻ろうとするラット。しかし彼を爆弾が襲います。
瀕死のラットは、息も絶え絶えに言います。

ラット:Father Chevillonー I borrowed the General’s watchー please give it back to him.

そしてチコも。「自分の宗教メダルをディアーヌに渡し、上を向いて死んでいったことを彼女に伝えてくれ」と神父に遺言を託します。

CHICO:Give this to Madame Chico with my love. Tell her I died looking up!

ーVery ーremarkableー fellow ー

その頃、ディアーヌは「第七天国」で、チコからもらった鉢植えに水をやっていました。ブリサック大佐は彼女にチコが戦死したことを伝えます。

BRISSAC:Forgive me for this intrusion. I must talk to you ー

BRISSAC:Diane, I wish I could spare you. I have very bad news ー

「CHICO ROBAS……CORPORAL KILLED」の文字を見たディアーヌは、驚愕しすぎて思わず笑ってしまいます。ディアーヌはチコの死を認めようとせず、彼は生きてる!と訴えます。

DIANE:It isn’t tureーChico is alive! I know!

DIANE:He promised to come to me every morning at eleven ーー and he has never failed me.

窓から「第七天国」にゴビンとマダム・ゴビンが入ってきます。ゴビンは戦場で被爆し、右腕を失っていました。ブリサック大佐は、ゴビンに「ダイアンがチコの死を信じないんだ」と訴えます。

GOBIN:I’m afraid it’s trueー it’s the Government that says so.

すると、今度は「第七天国」に神父がやってきます。

DIANE:Father Chevillon, you have news for meー of Chico?

CHEVILLON:He sent you his loveー and he told me to tell you that he diedーー looking up.

神父からチコの遺言を聞き、気を失うディアーヌ。しかしすぐに意識を取り戻し、うつろな目で言います。毎日11時に彼を思っていたのは私の想像だった、バカみたい。

DIANE:Then he didn’t come every dayーhe never came at allー

DIANE:I just imagined it ー it seems so foolish now.

ディアーヌが失意にくれていると、今度は「第七天国」へボウルがやってきます。彼がもたらしたのは終戦の報せでした。

BOUL:They’ve signed the armistice! The war is over!

歓喜するパリ市内の人々。泣き笑いするディアーヌ。神父はチコの宗教メダルをダイアンの首にかけて彼女を諭します。その言葉を聞いたディアーヌは、神への怒りを爆発させます。「私はきっと神がチコを連れ戻してくれると信じていたのに、彼は死んだわ!」

CHEVILLON:We must not question God’s will, my child.

DIANE:For four years I have called this Heavenー I prayedーI believed in Godーー

DIANE:ーーI believed He would bring Chico back to meー

DIANE:ーAnd Chico is dead!

狂ったように高笑いするディアーヌ。その頃、チコは歓喜に湧く人々を押しのけ、「第七天国」を目指していました。螺旋階段を手探りで登っていくチコ。

ブリサック大佐は傷心のディアーヌに漬け込み、優しい言葉をかけますが、彼女は「また振り出しに戻った」と絶望中。

BRISSAC:Diane, from now on I’m going to take care of you.

DIANE:ーーI’m right back at the beginning again.

ディアーヌがブリサック大佐に誘惑されていることを知る由もないチコは、大声で妻の名を呼びます。

CHICO:Diane!

声に気づいた神父。このとき、時計の針はぴったり11時を指しています。

CHICO:DIANE!

ようやく「第七天国」にたどり着いたチコ。ディアーヌは恐る恐る彼に触れ、その場に座り込んでしまいます。チコは目を見開いたまま、

CHICO:Diane, I’ve been hit by every shell that’s made! They thought I was dead, but I’ll never die!

CHICO:Diane, those big thoughts I had were the Bon Dieu after all. He is within meー

CHICO:ーNow that I am blind, I see that.

CHICO:My eyes are still filled with you.

DIANE:I will be your eyes.

CHICO:For a while, perhaps. But nothing can keep Chico blind for long!

CHICO:I tell you, I’m a very remarkable fellow!

抱きしめ合う二人に、窓から光が差しこみます。

THE END

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