最近、マウスで絵ばかり描いています。夏バテで思考停止状態に陥っているときは、頭を使わなくていい作業がしたくなりますよね。マウス絵メイキングは過去に何度か記事にしてますが、今回はマウスとGIMPの厚塗りブラシ(油彩ブラシともいう)だけでフェルメールの名画「青いターバンの少女(真珠の耳飾りの少女)」を模写してみたいと思います。
使用ソフトはいつものGIMP。使用ブラシはフリー配布されている「zummerfish’s_acrylic_brushes.abr-001」。
これです
インストールするのが面倒な方は、GIMPにデフォルトで用意されている油彩ブラシ「Oil 1~3」を使っても良いと思います。
目次
1.アタリをとる
厚塗り絵を描くとき、私は全てレイヤー1枚で仕上げてしまいます。というわけで、まずはGIMPを起動し、新規ファイルを作成。そこに「新規レイヤー(白)」を追加。
ツールプリセットで「ブラシ」を選び、「zummerfish’s_acrylic_brushes.abr-001」を選択。描画色は、黒っぽい色であればグレーでも何でもかまいません。
さて、下準備が終わりましたので、さっそく絵の「アタリ」をとっていきます。アタリとは大まかな位置取りのこと。髪や輪郭、顔のパーツ、装飾品などの位置を、下書き感覚でざっくり描き込みます。
アタリをとりました
2.肌を塗る
アタリを取ったら、次は顔を塗っていきます。
肌を塗るときは、ブラシサイズを大きめにし、光が当たっている部分(明るい場所)には彩度の高い肌色を、影になっている部分には彩度の低い色を置くイメージで塗ります。個人的に、厚塗り絵はナチュラルにしないほうが味が出て面白いと思うので、私はそこまで肌の明暗を気にしていません。たまにコテコテのピンク入れたりするし。
フェルメールの「青いターバンの少女」は、左上から光が差し込んでいます。この光は自然光なので、肌色にはすべて黄色みががった色を使用。
肌色は2~3色使い分けるのがポイント。まず基本となる肌色を1色作り、光源が当たって明るい部分を塗るときはこの色に白を足す。目の窪みや、鼻筋などやや影になっている所は、肌色に茶色などを足し、やや暗めの色で塗っていきながら色を馴染ませます。
肌を塗り終わったら、眼球や唇も塗ります。後で微修正するので、ざっくり色を置く感じでかまいません。
顔を塗りました(なんか高橋みなみに似てるな……)
3.ターバンを塗る
ターバン部分も、暗い部分から色を塗っていきます。ここでも「左上に光源がある」ということを意識しながらワッシャワッシャやります。光が当たって明るい部分と、影になっている部分をキッチリ塗り分けましょう。影の所も2~3色使うと、深みが出ます。
ターバン塗りました
4.耳と首と服を描く
次は、顔に耳を描き足します。耳を描くときも明暗を意識します。耳輪は明るめ、耳孔は暗め。
同じ要領で首を描き、ついでに服の色も塗っていきましょう。ブラシサイズを小さくし、細かく塗り込んでいけばシワや生地の質感も再現できますが、私はブラシのタッチが残っている粗い感じが好きなので、普段はそこまで描き込みません。
服まで描きました
5.真珠の耳飾りを描く
今度は「真珠の耳飾り」を描きます。球体に左上から光が当たっている感じの陰影をつけていきます。球体は色塗りの基本なので、耳飾りを上手く塗れたら何でも上手く塗れます。
真珠の耳飾りを描きました
6.鼻筋を修正する
西洋人の顔は「鼻筋が高い」「目が窪んでいる」のが特徴。実物を見ながら描いてるのに似ないな~というときは、この2点を修正するだけでかなり変わります。というわけで、鼻筋が高くなるよう塗りを修正。少し影をつけます。
鼻筋を高くしました
7.目にハイライトを入れ、窪みを描く
眼球に黄色みがかった白でハイライトを入れたら、彩度の低い色で目の窪みを描いてやりましょう。これで少女の顔だちが、かなり西洋人っぽくなりました。
西洋人らしい顔になりました
8.色の境目を微修正し、影をつける
輪郭やターバンの境目がぼやけているので、ブラシで微修正。フェルメールの「青いターバンの少女」と見比べ、足りない部分(細部)に影をつけていきます。ボヤけていた絵にメリハリを出すための作業です。さあ、これで模写終了!
「青いターバンの少女」完成
背景を塗って額に入れてみると、こんな感じになります。
贋作感がすごい
油彩画で「青いターバンの少女」を模写するときは、ガブリエル・マルティン著「世界の名画に挑戦、巨匠に学ぶ絵画技法」がオススメです。応用は効きませんが、エドガー・ドガ「舞台の踊り子」や、フィンセント・ファン・ゴッホ「星月夜」、ヨハネス・フェルメール「青いターバンの少女」を描く技術が身につきます。かなり具体的な内容なので、書いている通りにすれば、初心者でも本格的な油彩画が描けると思います。