日本の戦争史を学ぼう!戦前・戦中の様子が分かるおすすめの良書

日露戦争史表紙

2015年の夏、雑誌や出版社がこぞって「戦後70年特集」を組んでいたので、いい機会だと思って片っ端から読み漁りました。去年読んだ本の中から、特に戦前・戦中を理解するために役立った本を厳選してご紹介します。

SPONSORED LINK

目次

「日本のいちばん長い日」半藤一利

日本がポツダム宣言を受諾し、昭和天皇が玉音放送を起こった1945年8月15日を1時間ごとに記録したノンフィクション。玉音放送を敢行しようとする政府と、それに反発してクーデターを起こす軍部との詳細なやりとりの内容の記録が克明に記され、日本人として現代を生きる上で避けては通れない一冊。

「ノモンハンの夏」半藤一利

学校教育ではさらっと流されてしまう「ノモンハン事件」について、参謀本部・関東軍がどのようなプロセスを経て紛争を引き起こし日本大きな損害をもたらしたかを克明に記している名作。戦闘自体に焦点を当てるのではなく、後ろに控える日本陸軍の腐敗体質や関東軍参謀・辻政信少佐の愚行に深く言及しており、その怒りが文章に滲み出ています。

「戦艦武蔵」吉村昭

日本帝国海軍の戦艦の中でも「不沈」と言われた戦艦武蔵。その武蔵がいかにして作られ、どのような最期を迎えたかを描いた意欲作。日本におけるノンフィクション文学の先駆け的な作品でもあり、分量に比例しない情報量の多さには本当に驚かされます。武蔵を建造した技術者達の姿に胸が熱くなり、レイテ沖海戦の描写の緊張感は圧倒的。

「沖縄決戦  高級参謀の手記」八原博通

太平洋戦争において唯一の本土決戦の場となった沖縄で米軍を迎え撃った陸軍高級参謀・八原大佐の手記。この本は太平洋戦争の一級資料的位置付けですね。日本ではドラマや映画の影響で年々、沖縄戦を美化する傾向が強くなっていますが、実際に手記を読んで「本当の沖縄戦」がどのようなものであったかを知ってください。

「軍艦長門の生涯」阿川 弘之

当時、世界最大・最速と言われた戦艦・長門を題材にしたノンフィクション。長門の建造からその最期までを描きつつ、帝国海軍や時代情勢のエピソードも織り込んでいるのんで読みものとしての面白さも十分。

「摘録 断腸亭日乗」永井 荷風

永井荷風が42年間にわたって書き続けた日記「断腸亭日乗」の抄訳版。文章の上手さにも唸りますが、大正6年から昭和34年という激動の時代に生きながら、「時代」ではなく「自分の身辺」に起こったことだけを赤裸々に綴っているのが本書の面白さです。今なお愛読者の多い、日記文学の最高峰。高見順の「敗戦日記」と併せて読むと、より理解が深まります。

▼高見順の「敗戦日記」以下のサイトで読めます。

高見順「敗戦日記」8月1日〜9日

「失敗の本質」戸部 良一,寺本 義也,鎌田 伸一,杉之尾 孝生,村井 友秀,野中 郁次郎

ノモンハン事件、ミッドウェー海戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ沖海戦、太平洋戦争の沖縄戦という6つの作戦を題材にとり、その原因と失敗へのプロセスを導き出しています。組織分析にも活かせると最近ではビジネス書としての側面も目立っている本。

「戦争と人間」五味川 純平

太平洋戦争に翻弄される新興伍代財閥とその周囲の人々の人間模様を描いた戦争文学の金字塔。1~2話では満州事変勃発前後、3巻では五・一五事件、4巻では2・26事件、5巻では蘆溝橋事、6巻ではノモンハン、7巻は太平洋戦争突入、8巻ではガダルカナル作戦、そして最終巻となる9巻では米軍による日本への原爆投下から終戦を扱っています。

8・9巻はまさに地獄絵図とも言うべき描写の連続とクライマックスへの畳み掛けが凄く、紙の本で読むと手汗で紙がぐっしょりになります。光文社さん早く電子書籍出してください。

「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」加藤 陽子

日清戦争・日露戦争・第一次世界大戦・日中戦争・太平洋戦争という5つの戦争を題材にし、東京大学文学部教授の著者が中高校生に対して戦争が起こった背景について講義した内容をそのまま議事録として収録したものが本書。

ただ戦争の起因について不明瞭な部分があったり、随所に「これくらいは知っていて当然」という前提で書かれている箇所があるので謳い文句の通り初心者が「入門書」として購入するにはややハードルが高いかもしれません。

「日本の近代化と民衆思想」安丸 良夫

第一篇では世直しの理論から日本の近代化と民主思想を、第二篇では百姓一揆にみる民衆蜂起のプロセスを史料から読み解いています。

「日露戦争史 20世紀最初の大国間戦争」横手慎二

日露戦争に至るまでの過程を日本・ロシアそれぞれの視点で描いています。日本人うんぬんに関わりなく、第三者的な視点で日露戦争の概要を理解できる良書。講話についても詳しく、それでいて客観的に書かれているので、日露戦争について知りたい人はまずこの本から読んでみては。

「日本解体―「真相箱」に見るアメリカGHQの洗脳工作」保坂 正康

第二次世界大戦に敗戦した直後、日本で「真相はかうだ」というラジオが放送されました。「真相はかうだ」はのちに「真相箱」と名を変えて放送。真意が定かではない情報を放送して日本国民に罪悪感と贖罪の意識を植え付け、現在でも真相箱で流されたプロパガンダが日本の歴史史観に大きな影響を与えています。 日本の歴史史観を見直す上では絶対に読むべき本だと言えます。

「太平記」兵藤 裕己

登場人部の多さや展開の複雑さから、日本史の中でもあまり人気がない南北朝時代ですが、私はこの時代が一番好きなので太平記もニヤニヤしながら読みました。2015年の戦後70年ブックフェアでよく取り上げられていたので、久しぶりに再読。

戦前は足利尊氏を逆賊、楠木正成・新田義貞を忠臣とする風潮が強まり、この思想がのちの皇国史観に至るため、戦前の思想を知る上では欠かせない本と言えるでしょう。

太平記は訳本が数多く存在しますが、初心者が挫折せず最後まで読むことができるのはおそらくこの岩波版だけだと思います。ルビや改行が適度に施されており、古典文学が苦手な方でも気が散らずに読み進めることができるはず。

「アーロン収容所」会田 雄次

第二次世界大戦終了後に英軍の捕虜となった著者がビルマ英軍収容所での日々をユーモアを交えつつ描き出しています。著者のような人々は当時「降伏日本軍人」と呼ばれ、多くの飢餓者を出した過酷な環境の中で 強制労働を強いられてきました。戦時下だから仕方ない部分があるとはいえ、この本を読むと英軍のぐう畜っぷりがよく分かります。

「日米開戦の真実 大川周明著『米英東亜侵略史』を読み解く」佐藤 優

太平洋戦争開戦直後、NHKラジオで大川周明による戦争講義が放送されました。本書ではその講義内容を引用しながら戦争海戦の経緯や、戦後に行われた東京裁判について言及しています。

「日本国家の神髄」佐藤 優

「日本」という国を1から考えるためには「国体」という理念をきちんと理解しなくては始まりません。戦前の思想がどのように形成されていったか、という過程を、禁書「国体の本義」の解説とともに追っていくが本書。 10代・20代の人にこそ読んでもらいたい本です。

「未完のファシズム―『持たざる国」』日本の運命」片山杜秀

一時は絶版となっていましたが、Kindleの電子書籍で復活!本書は第0次世界大戦とも呼ばれる太平洋戦争にスポットを当て、「持たざる国・日本」が「持てる国・欧米」に戦争で勝つにはどうすべきかを日本陸軍の戦略思想に言及しながら解説しています。

「陸軍中将樋口季一郎回想録」樋口 季一郎

日本陸軍にもこんな人がいたのか…と胸が熱くなる手記。ナチスに迫害され逃れてきた2万人に及ぶユダヤ万民を救援し、日本軍の生存率わずかに1%というアッツ島玉砕を指揮した名将の生き様はただただ素晴らしいの一言に尽きます。

「炎熱商人」深田 祐介

日本人の母、フィリピン人の父を持つ主人公・フランク佐藤。フランクは戦後のマニラにある日系商社に勤めている商社マンです。本書はマニラで働くフランクと日本人社員との差別や現地に残る反日感情などを描きつつ、フィリピンと日本の関係性を上手く読者に示しています。読み物としての面白さも一級ですが、フィリピンという国への理解を深めたい人にもおすすめ。

「國體の本義(国体の本義) 臣民の道」文部省

1937年(昭和12年)に編纂され、日本の「国体」とは何かという定義と解説がなされています。

「虚構の大義 関東軍私記」五味川 純平

元関東軍の兵士だった五味川純平が、自身の経験から関東軍の実態を暴いています。日本軍の軍隊の内情を知ることができ、五味川純平の筆も乗りに乗っているという印象の本。傑作ですがやはり単品で読むより、同じ従軍体験を元に書かれた人間の條件とともに読むのがおすすめです。

「人間の條件」五味川 純平

全体を通して重く暗い雰囲気が立ち込めているので、気分が落ち込んでいる時に読むともうほとんど死にたくなります。 この作品は日本軍の中国侵略を描きながら、その時代の中で正義貫こうとし、結果としてそれが自分を窮地に追いやり孤立していく主人公・梶の視点で進んでいきます。 日本軍の凄惨な行いの数々のインパクトが強すぎるので忘れてしまいそうになりますが、梶と妻である三千子の逢瀬のシーンは切なさで胸が締め付けられます。

「小説 陸軍」火野 葦平

明治四年から満州事変に至るまでの時代を陸軍の兵士たちの暮らしぶりとともに伝える戦中文学の傑作。私は福岡生まれなので、幕末四境戦争のシーンはかなり楽しく読めました。この「陸軍」は木下恵介監督によって映画化され、そのラストは日本映画史に残る名シーンなので、小説を読む前に映画を見た方がいいかもしれません。大げさじゃなくて、映画のラスト本当にすごいよ。

あわせて鑑賞したい!

木下惠介生誕100年 「陸軍」 [DVD]

「国防婦人会―日の丸とカッポウ着」藤井 忠俊

日中戦争下で国を支えた「国防婦人会」の活動を追いながら、民衆運動のプロセスを解説しています。ドラマや映画ではよく兵士の夫を泣く泣く見送る妻、という図が出てきますが、当時は女性も戦争を後押しし、割烹着に白タスキをかけ勇んで夫を送り出していたことがよく分かる本。いつの時代も女は怖い。

「歴史と外交─靖国・アジア・東京裁判」東郷 和彦

いま、日本でも活発に議論がなされれている靖国・慰安婦・原爆問題などを取り上げ、それぞれの問題に対してとても緻密な研究を行って書かれたのが本書。 著者の東郷さんは元外交官僚というだけあって海外の情勢や立場などについての知識も十分で、日本の歴史問題に対して客観的に論じているためとてもバランスが良い内容だと思いました。 日本の歴史問題、外交問題を知りたければこういうバランスの良い本を読むべきですね。 参考文献リストも豊富なので、本書の中で興味を持った部分があればさらに見識を広めることができ、便利。

「プロパガンダ戦史」池田 徳眞

戦時中、国民を洗脳するため頻繁に行われたプロパガンダ作戦を、国ごとに分析・研究しています。著者は元外務省のラジオ室に務め、主に欧米の短波放送傍受の任にあたっていたという経歴の持ち主。本作の中では特に英国のプロパガンダ作戦が高く評価されています。中公新書の中でも名著と名高い本。

「図書館員―イラクで本当にあった話」ジャネット・ウィンター

イラク・バスラにある中央図書館で、3万冊の蔵書を戦火から守ろうとする女性を描いた絵本です。昔のディズニーのようなイラストとともに事実だけが淡々と描かれていますが、戦火の中にあって希望を失わない図書館異員のアリアさんの姿に勇気をもらえます。大人に読んで欲しい1冊ですね。

「きれいな絵なんかなかった―こどもの日々、戦争の日々」アニタ・ローベル

第二次世界大戦時、わずか5歳でナチスの強制収容所に送られた著者の回顧録です。ポーランド国内を逃げ続け、強制収容所に送られた子供がどのような目に遭ったのか実際に読んで確かめてみてください。決してお涙頂戴展開になっておらず、胸くそ悪くなるシーンもありますが、それがこの「時代」だったんだと痛感します。

「李玉琴伝奇 満州国最後の〈皇妃〉」入江 曜子

ラストエンペラー溥儀の第四婦人、李玉琴の半生を描いたノンフィクション。貧民から皇帝の側室に成り上がった女性は、実にしたたかで強くたくましい。 あまりスポットを浴びることのない李玉琴の姿を活き活きと描いている入江曜子女史の凄さをとくと見るべし!

「大空のサムライ」坂井三郎

第二次世界大戦中、日本のエースパイロットとして活躍した坂井三郎本人が書いたベストセラーノンフィクション。「事実は小説よりも奇なり」とはまさにこの本のためにある。今の価値観では到底信じられないエピソードの数々が記されているため読み物としても大変面白く、当時の航空戦を知る資料としても貴重。

■参考にした特集一覧

「人は戦争に魅了されるもの」その本質を知る最新・戦争本

選者:石川明人(桃山学院大学准教授)

サイゾー2015年8月号【タブーな本】

知らなければ「未来」は拓けない/戦争と戦後を知る102冊

選者:佐野優

AERA 2015年8月10日増大号

文藝春秋「戦後70年を考える70冊の本」

選者:東谷 暁

本の話WEB 戦後70年を考える70冊の本

おんなこどもの戦争フェア

選者:紀伊國屋書店

紀伊國屋書店 新宿本店/おんなこどもの戦争フェア

戦後70年を振り返るフェア

選者:書泉ブックタワー

戦後70年を振り返る AT書泉グランデ・書泉ブックタワー – 書泉/東京・秋葉原

特集 戦後70年 未来へ続く平和への祈り

選者 Honya Club.comユーザー

オンライン書店 Honya Club.com(みんなで作る本棚 第25弾)

SPONSORED LINK

あわせて読みたい



トップへ戻る