ライターに役立つ目的別「雑誌の選び方」 vol.1 文章力を向上させたいとき

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何かしら文章を書きたいのに、全く筆が進まないという日がある。そういう日は、大抵寝不足やストレスで思考力が鈍っているか、単にインプットが少なくなってネタ切れを起こしているかだが、あまり文章が書けない日が続くと、文章そのものの書き方を忘れてしまいそうになる。書きたい気持ちはあるのに書けない!というジレンマにはまってしまったらどうすればいいのか。

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文章が書けなくなった時に役立つ「雑誌」の力

私の周囲には、新聞を読んだり文章読本系の「ハウツー本」に手を出す人間が多いが、それよりも効果的なのは「雑誌を読みまくる」ことだ。雑誌には、一冊の中に複数のライターの記事があり、内容も解説記事から対談形式などさまざまな体裁で書かれている。しかも、ファッション、ビジネス、サブカルとテーマも違うため、効率的に情報収集も出来る。

Kindleは定価に比べて10%ほど安く雑誌が手に入るが、紙面中の広告、写真などが虫食い状態でグレーに加工されている。電子化の性質上、このような加工は避けられないのかもしれないが、読んでいてどうにも気に入らない。少なくとも私は、このような加工がしてある雑誌を買う気が起こらない。だが雑誌は読みたい。その結果加入したのが、「dマガジン」の雑誌読み放題サービスだ。

▼関連サイト

dマガジン公式サイト

「dマガジン」で読める雑誌は、一部の記事がカットされているため、本誌に比べるとやや数が少ない。それでも月額400円なら、Kindleで1冊ずつ買うよりは遥かにお得だ。ライターを名乗ってはいるものの、やはり文章力の低い素人ライターが多い「nanapi」や「All About」、情報の伝達が最優先のため、文体研究には向かない各社新聞と比べると、雑誌の記事の書き方からは学ぶべきことが多いように思う。

知識を得たいが分厚い本を読み切る集中力がない、という人も、1つのテーマが2~3ページで完結している雑誌なら、「読みきった!」という達成感で読書に対するアレルギー体質の改善にも役立つのではないだろうか。今回は、沢山の雑誌の中から「文章力を向上させたい」ときに読むべき雑誌を2冊ご紹介したい。

AERA

おそらく、今販売されている雑誌の中で、AERAの記事は(内容はともかくとして)記事の質だけならトップ3に入る。中高年の読者層をターゲットにしているせいもあるだろうが、そもそも記事を書いているライターや作家のレベルが頭ひとつ抜けているのだ。

AERA 2015年 8/10 号 [雑誌]

最新号となるAERA8月号は「終わらない戦後」をテーマに、作家の佐野優が臨時編集長を務めるという異色号。その中の特集の1つ、『「歴史修正主義」はなぜうまれたか』の冒頭を引用してみたい。

この国はどこへ行こうとしているのか。そんな不安を抱く人は少なくないはずだ。何かが大きく動いているけれど、その源や、行きつく先に何があるのかはわからない。

見えないものは何なのか。時代が動いた歴史の「節目」を探した。

「南京」を取り上げ、ない歴史教科書が生まれ、検定を通った。

リラベル郵政だった討論番組で保守論客が目立つようになった。

バブル崩壊、阪神・淡路大震災、オウム事件が日本人の心に穴をあけ、その心の穴を満たすように登場した新自由主義経済がいまも、私たちを傷つける。

リラベルが弱体化して反知性主義がはびこり、右傾化が進んだとビール片手に嘆くのはたやすいが、変化の本質を直視しなければ先には進めない。

失ったものを知ることから始めよう。

「歴史修正主義」はなぜうまれたか AERA8月号

文章の要約が苦手な人も、AERAの特集記事のリード文を読めば、何をどうまとめると分かりやすい要約文が作れるのが、感覚的に理解できると思う。また、AERAは識者やジャーナリストが記事を書いていることも多いため、1つの物事に対してさまざまな文章のアプローチ方法があることが分かり、自分の中の引き出しが増える。

たとえば、今月号では、世間でめっためたに叩かれたあの香山リカも「拝金と愛国、結託する富裕層」という記事を書いており、「Twitterで色々やらかしてトンズラした人」という色眼鏡を外して見れば、(文章に個人的な恨みつらみが透けて見える気がするのはどうかと思うが)そこそこまともな文章を書くことが分かる。

香山リカに限らず、私自身も含め女性ライターは、男性ほど冷静的な文章を書くのには向いていない。どこかで必ず個性を出したがり、感情を乗せたがる。このような主張を抑えて記事を書けるようになるのも、今後の私の課題だ。話が逸れたが、記事の文章がしっかりしているAERAは、1日に1ページだけでも読む習慣をつけると、一ヶ月後の文章力に明らかな違いで出てくることだろう。

最後に、今月号の特別編集長を務めた佐野優さんの言葉を引用したいと思う。

特別編集長として戦後70周年の特集を編集するにあたって重視したのは、客観性と実証性だ。

そのことによって反知性主義的機運に反撃し、自由、民主主義、人権といった普遍的価値観を日本に土着化させる努力を続けることが、有識者の責務と考える。

「編集後記」AERA8月号

Newsweek【日本版】

Newsweekは、やはりAERAと同じく、現在日本で発売されている雑誌の中では質の高い記事を掲載している数少ない雑誌だ。「PRERISCOPE」内には比較的短い記事も掲載されており、400~800文字程度の記事を書くときに参考に出来るのが嬉しい。

週刊ニューズウィーク日本版 「特集:「戦後」の克服」〈2015年 8/11・18号〉 [雑誌]

最新8月号では「戦後の克服」を特集しており、中でも元捕虜収容所長の孫に当たる記者が日本軍捕虜だった元アメリカ兵を通して自らの祖父、そして戦争と向き合う「遠い記憶の先に終止符を探して」という記事は、とても良かった。一方で、「LIFE/style」内の記事は、話題の映画や本について紹介されているので、ブログのレビュー記事を書く時におすすめだ。

今月号では、日本でも盛り上がっている映画「ジュラシックワールド」が取り上げれており、見出しの付け方も、

特撮もスリルも数段パワーアップしたシリーズ4作目「ジュラシック・ワールド」は期待を裏切らない面白さ

と、さすが。

見出しのキャッチコピーは、ハウツー本を見てすぐに思いつくものでもないので、雑誌を見てバリエーションを増やしていくしかない。その点、Newsweekのキャッチコピーはいずれも「お上品」で、汎用性もあるため、覚えておいて損はないだろう。そして肝心の本文は以下のように続いている。

93年のメガヒット作「ジュラシック・パーク」から22年。コリン・トレボロウ監督がメガホンを握るシリーズ4作目「ジュラシック・ワールド」はお決まりの、ある意味ではばかばかしいパニック映画だ。だが、上映中はそんなことを思う余裕がないくらい、はらはらドキドキの連続で、息をつくまもない。

(中略)

現代の「ジュラシック・ワールド」は、これまでにも増して最新のテクノロジーを駆使し、先史時代と現代を両立させている。

「あのジュラシックな恐怖が帰ってきた」 Newsweek8月号

私も今後、Newsweekの記事を見習って、レビュー記事をこれくらいスマートに書けるようになりたいものだ。

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