自転車事故の体験談から学ぶ、被害者・加害者の取るべき正しい事故対応

自転車事故正しい対応

最近、Yahoo知恵袋や掲示板などで「自転車事故」に関する質問が相次いでおり、その数は自動車事故にも匹敵するほどだ。

今年は道路交通法も改正され、自転車乗りにとってはちょっとした油断で厳しい罰則が課せられるリスクも増えたわけだし、これまで以上にモラルが求められる中、万が一「自転車事故」に巻き込まれたときにどう立ち動けばいいのか、ネット上で実際に加害者になったケースと被害者になったケースの情報を参考にまとめてみた。

検索エンジンで「自転車事故」と検索すると、表示されるのはほとんどSEO関連のサイトばかりで、いまいち信憑性がなく、鵜呑みにしていいものか非常に疑わしい。今回は、実際に事故にあったという人の体験談を元に情報をまとめているので、もしも事故対応に迷っている人や、これから自転車を購入しようとしている人の参考知識になれば幸いだ。

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事故発生時から示談までの流れをざっくり説明

  1. 自転車で走行中歩行者・車両と接触
  2. 被害者は救急車で病院へ搬送、加害者はその場に残って現場検証
  3. 後日、加害者は改めてお見舞いに伺い再度謝罪が必要
  4. 1ヶ月~2ヶ月で9割の被害者が退院、通院に切り替えて治療続行
  5. 半年でほぼ被害者の治療打ち切り、示談交渉へ
  6. 保険会社に慰謝料などを計算してもらい、加害者は被害者と交渉
  7. 被害者が慰謝料の金額に納得すれば、示談成立。

自転車事故の原因とは

ネットで調べてみると、自転車事故の発生事由は、以下の3点が多かった。

  1. 歩道を走行中、歩行者と接触(この場合の過失割合はほぼ10:0)
  2. 車道を走行中、信号無視の車両と接触(この場合の過失割合はほぼ0:10か1:9)
  3. 車道を走行中の自転車が信号を無視し、横断歩道を渡っていた歩行者と接触(この場合の過失割合はほぼ10:0)

1のケースでは、交通量が多い車道や極端に狭い車道の場合に限り、「やむを得ない理由」として歩道の走行が許可される事もある。その場合、だいたい時速8~10km程度(大人のジョギングと同等の速度)での徐行運転をすることが条件だ。国土交通省のサイトには6~8kmとあるが、実際にこの速度で自転車を運転するとフラフラ運転になってしまい、逆に危険だ。サイクルメータを使って速度を測ってみたが、運転が安定して一番遅い速度というと、やはり8~10kmがベストだった。

道路交通執務研究会編著、野下文生原著『道路交通法解説 : 執務資料』(13-3訂版、東京法令出版、2007年)は、第63条の4第2項についての項目で「歩行者の歩速毎時四キロメートルから考えて、毎時六キロメートルから八キロメートル程度ということができよう」(655ページ)と述べており、同様の記述が警察・国土交通省などのウェブサイト上に見られる。

ウィキペディア(Wikipedia)

都心部などの歩道は、ある程度の幅が確保されているが、地方の歩道は道幅が急に狭まっている事も多い。道幅が狭い場所に限ってゴミ置き場が設置されていたり、バス停があったりもするので、ここで歩行者と接触し事故となるケースも多いようだ。

車道での事故であれば、車両が幅寄せしてきたために自転車が車体と接触し、バランスを崩して巻き込み事故となるケース、あるいは信号無視の車両が自転車に突っ込んでくるケースなどが多い。

事故発生直後に取るべき対応

自転車事故が起きると、負傷していない方がまずは119番通報を行う。

ここで加害者・被害者ともに命に関わるような怪我をしていれば両者はすぐに救急車で病院へ搬送となるが、加害者が無傷であれば、加害者のみその場に残って現場検証を行う事になる。

現場検証にかかる時間は平均で30分~1時間程度。通行人が多い場所だと被害者のバッグや靴などが動かされることがあるので、警察が到着するまでに携帯のカメラで事故直後の現場を撮影しておいた方が良い、と加害者は語っている。

加害者は被害者が搬送される前に、手荷物の確認をさせてもらおう!

悪質な被害者は、後日になって携帯電話のディスプレイに傷が入っていたとかパソコンが壊れたとかいって精密機器などの修理代を要求してくる事もあるので、警察が来たら被害者が搬送される前に、手荷物の確認だけはしておいた方が良いようだ。

被害者がすぐに搬送されたなら、おそらく被害者の家族が警察によって事故現場に呼び出されると思うので、被害者家族の了承を得た上で手荷物の確認をさせてほしいと願い出よう。ネット上には携帯やパソコンを故意に破損させ、加害者に事故時に破損したと嘘の申告をして賠償させるという悪質な手口を利用したと告白している被害者も多い。弱みにつけこんで加害者を食い物にする「事故乞食」の手に乗らないためにも、自衛対策は取っておくにこしたことはない。

現場検証が終わると、加害者は被害者が搬送された病院に向かい、再度謝罪をしてその日は帰宅。可能であれば、病院に訪れた際に医師から被害者が全治何週間であるかを教えてもらっておけば、保険会社への報告がよりスムーズになる。

事故後、加害者は自分の加入している保険会社に連絡する

被害者の入院費・治療費はもちろん、、慰謝料は加害者が加入している保険会社から支払われる事になるので、自転車事故を起こしたら当日中に保険会社に連絡を入れるようにしておこう。自転車事故をカバーしている保険は以下のようなものがあるので、まだ加入してないならば、加入を検討しておいた方がいい。

  • 賃貸マンション、分譲マンションの火災保険
  • 自転車を購入する時に加入した自転車保険
  • 自転車購入後に任意で加入した自転車保険

他にも、加入している生命保険に「個人賠償責任補償」が付いていると、これが自転車事故に使える場合もある。もし保険に未加入であれば、被害者に払う全ての費用を事故負担しなければならず、大変な負担になるので気をつけておきたい。

自転車保険に加入する際は必ず「示談代行サービス」がついているものを!

自転車保険を選ぶ時は、必ず「示談代行サービス特約」が付いているものを選ぶこと。代行サービスがついていないと、示談交渉を1から自分でやることになり、精神的も体力的にも大変だ。また、平日に役所へ行ったり警察へ行ったりしなければならないので、仕事を頻繁に休まなければならなくなり、色々と支障が出る。

被害者は、保険関係に関しては加害者からの連絡をまっているだけでいい。加害者が自分の加入している保険会社に事故の報告をすれば、後日、加害者の保険会社担当者が被害者の元へ面会に訪れ、保証の内容を確認しに来る。この時、保険担当者の対応が不誠実で信用できないと判断した場合は、加害者に連絡して担当者を変えてほしいと頼むのが良い。

もし、加害者の保険に示談代行サービスが付いておらず、加害者自身が保険対応を行なう場合は原則として入院費は加害者が立て替えなければならない。請求書は病院から一旦被害者に手渡されるので、入院中なら病室で受け取ってそのまま病院の窓口で支払いを行なう。後々、この請求書を保険会社に送って立て替えた治療費を振り込んで貰わなければならないため、加害者は請求書は必ず無くさないように大事に保管しておこう。

被害者が通院に切り替えたときの対応

保険対応を加害者自身が行なっている場合、被害者が退院して通院に切り替える時期になると、被害者から加害者に「何日から通院治療に切り替えた」と連絡があるはずだ。

通院に切り替わったら、通院する際にかかる出費(交通費・治療費・薬代)は一時的に全て加害者が立て替える。1か月ごとに被害者の元へ行き、まとめて立て替えられればそれが一番いいが、被害者が「高額で払えない」と言えば、面倒だが1週間~2週間ごとに被害者の元へ伺い、治療費を立て替える気遣いが必要だ。被害者は、健康保険を使って治療を受ける事になるが、この健康保険料は後々、加害者の保険に請求が行くので気にしなくて大丈夫だ。

被害者が請求出来るのは、病院での治療費・薬代・交通費(ただしタクシーは怪我の度合いによっては認めらない場合もある)。ムチ打ちなどの治療として温泉に行く場合は、「病院の医師の勧め」があった場合か「療養施設として指定されている温泉」でなければ、料金を請求しても保険対象と認められないことがあるので注意しよう。

加害者は、「事故を起こした」という負い目があるため下手に出るのは仕方ないが、あくまで「適切な保険対応の範囲」で対応をするべきなので、なんでもかんでも「ハイ」と言って被害者の言うがままになる必要はない。

温泉治療や整体治療が医師の勧めでなく、被害者が明らかに自発的に行っているのであれば、きちんと説明し、保険対象にならない旨を伝えて「適切な保険対応の範囲での賠償義務」を説明しよう。もしも被害者がゴネて「誠意が足りない」と論点をすり替えてきたら、家族の方に説明をするか、「担当者から説明させていただくので直接保険会社へ電話してくれ」と言っておけば良い。

代行サービスがついていない保険の場合は、保険担当者から被害者へ連絡することはできないが(示談対応になるため)、被害者が保険会社に電話をして説明を求めれば、担当者が対応してくれる。これは自分の手に負えないな…と判断したら、保険担当者の手を借りるのが最も賢い方法だ。

人身事故扱いになった時は警察で調書を取られる

自転車事故で、相手の身体に怪我がない場合は物損事故で片づけられる場合もあるが、ほとんどは人身事故扱いになると考えておいた方がいい。ただし、自転車事故が自動車事故と違うのは、人身事故になっても自転車免許の点数には何の影響もないということだ。

ただし、人身事故扱いになると、警察署から呼び出されて検察に送る調書を作ることになる。調書を作る際は、事故当時の状況や仕事のこと、さらに貯金や借金の状況や趣味についてなど、どうでもいい事まで一通り聞かれる事になる。

私自身、以前ちょっとした盗難に合った時に被害者の立場で調書を取られた事があるが、その時は不安だったので親に同伴してもらった。調書を作っている間は基本的に担当の警察官と2人きりだが、ドアを開け放した状態にしてくれるので、親は外に待機している状態だ。

ネット上には、ボイスレコーダーを持込み、会話を録音しても特に咎められたりはしないという声も多いため、付き添いがなく1人で不安な時は録音という手を取っても良いと思う。調書を作るとき、警察は完全に被害者の肩を持ってくれる(当たり前だけど)。ただし、所々、答えを誘導するような言動をすることもあるので、誘導にのらず、違うことは違うと整然とした態度で臨もう。

「ここに荷物を置いていて、気がついたら盗まれてました」

警察「本当にここに置いてたんですか?」

「はい」

警察「加害者はね、この場所じゃないって言ってるんですよね、ここ(地図を指さし)、本当にこの場所で合ってますか?こっちじゃなかったですか?」

開始10分くらいでこんな風に迫られたので、もし事実と違っていても押しに弱い方だとつい意見を曲げて「はい」と言ってしまうのではないかと思う。警察に畳み掛けられても事実と違う所は違うと言わないと、一旦作られた調書は訂正が出来ないらしいので注意だ。

印鑑を持参するときには戸籍と同じ旧漢字のものを!

あと、最後に調書にハンコを押すよう言われるのだが、調書に記載されている名前は住民票と同じものなので、住民票の漢字と異なるハンコを持って行ったら拇印を押せと言われる。

たとえばいつも使っている「広」が住民票では旧漢字の「廣」だったり、「国」が住民票では「國」となっているのに気付かず、普通に新漢字の印鑑を持って行くと「これ住民票の漢字と違うので調書には使えませんね」と一蹴され、拇印を押す羽目になってしまう。悪用はされないと思うが、やはり警察で拇印をとられると良い気持ちはしない。印鑑を持っていくときは事前に住民票を確認するのを忘れずに。

通院費の立て替えをする際は、自分で支払い証明書を用意しよう

自転車事故の場合は、慰謝料の前払いや一時金支払いが出来ないので、病院が遠方だったりして治療費が高額になると、確かに被害者にとっては負担になってしまう事もある。

そして、こんな事は言いたくないが事実として、通院に切り替わると被害者は毎日通院して少しでも慰謝料を稼ごうとする。慰謝料を稼ぐために通院している事が分かると、加害者としてもモヤモヤした気持ちになるだろうが、これもまあ被害者の正当な権利なので加害者はあれこれ言わず、ぐっとこらえよう。

そして、とても大事なことだが、保険対応を自分達で行う場合には治療費の支払い時に自前の「支払い証明書」を用意しておいた方が良い。これは当事者同士の「払った」「払ってない」のトラブルを防ぐためでもあるが、保険会社も結構いい加減だから、請求書が多いと平気で金額を間違えたりする。そのための自衛手段だ。

【支払証明書 記入例】

支払証明書記入例

保険会社の計算ミスは日常茶飯事だ。特に自転車事故は軽く扱われがちなので、入社して日の浅い社員や派遣社員などが担当する事が多い。ただでさえ、人の入れ替わりが早いと言われる保険会社だけに、よく事故の内容を知りもしない人間に任せておくのは不安だ。

だから、支払い関係は自分でも金額を把握しておき、差額がないか目を光らせておくことが大切だ。保険会社は自社の利益しか考えていない、という事を肝に命じて、完全に信じきることはしないほうが身のためである。

示談を始める時期と症状固定について

事故発生から半年経つと「症状固定」といって、通院してももうこれ以上良くなることはないという診断が下される事になる。事故当日に搬送された病院とは別の整形外科に通院している場合は、搬送された方の病院に行って検査を受け、症状固定かどうかの診断が下りるのだそうだ。とにかく、症状固定となったら、被害者は加害者にその旨の連絡が入れておこう。
連絡が来たら、加害者は正式に示談に向けて動く時期だ。

加害者は、症状固定になったら保険会社に連絡して慰謝料などを含んだ賠償金の額を計算してもらうことになる。示談書も保険会社が用意してくれるので任せておいて問題ないが、書類が出来上がるまでにかかる期間はどの保険会社も約2週間前後のようだ。

被害者が金額に納得したらそこで示談に応じ、納得しなければおそらく弁護士や行政書士などに依頼し、より高い金額を提示してくるだろう。弁護士や行政書士から再計算された請求書が届いたら加害者はその書類を保険会社に送り、対応は保険会社の担当者に任せておけばいい。

被害者が賠償金の金額に納得せず、万が一訴訟になった際は保険会社が弁護士をたててくれる(これは代行サービスがない場合も立ててくれる)ので、被害者が郵送してきた訴状を保険会社に贈り、「対応よろしくお願いします」と連絡を入れておく。その以降は、加害者は保険会社から裁判の結果の連絡が来るのを待っておくだけでいい。

被害者は、もし相手とその保険会社の提示した金額が「少なすぎる!」と感じたら弁護士に無料で相談できるWEBの交通事故相談窓口に電話をしてみよう。賠償金が増額する見込みがあるようなら、弁護士や行政書士に再計算を依頼する。もしも加害者が応じないなら、最終的に裁判で争うことも考慮しておく心構えが大事だ。

まとめ

このように、自転車事故もほぼ自動車事故と同じような手続きを経て示談、という事になる。加害者になっても被害者になっても、精神的な負担がかかり、さらに生活にも様々な支障が出てくることは避けられない。

示談に至るまでには半年~1年かかることも珍しくないそうだし、さらに長期化していけばもっとややこしくなることだってある。今年から道路法も改正されて自転車乗られる方は肩身の狭い思いがすることだろうが、加害者にも被害者にもならないように、ルールを守り、事故にはくれぐれも気をつけながら自転車ライフを楽しんでほしい。

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