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よなかのはなし

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おんな城主直虎放送記念!大河ドラマガチ勢が読む女主人公の歴史小説

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真田丸のヒットで若干ハードル上げられた感のある「おんな城主直虎」。「大人しく井伊直政にしとけよ」「マイナーすぎる井伊直虎で、果たして一年間尺が持つのか」と心配する声もあるけれども、近年の不作っぷりで駄作耐性がついた私としては、この「おんな城主直虎」がどんな展開になっても驚かない自信があるね!!

歴史の影に女あり…女性が活躍する歴史小説を読もう!

 史実を題材にした歴史小説の中は、印象的なシーンに必ず女性が登場します。主人公として登場するもの、主人公の妻や恋人など物語のカギを握るキーパーソンとして登場するもの……。今回は、2017年の大河ドラマ「おんな城主直虎」と同じように、歴史に深く関わってきた女性たちが活躍する面白い歴史小説を集めてみました。歴史小説は、いいぞ!!

 

※ちなみに、大河ドラマガチ勢を自称する私は過去にこんな記事も書いています。併せてどうぞ!

2000年以降に放送された歴代のNHK大河ドラマを名作順にランクづけしてみた

 

おんな城主 直虎

まずは2017年の大河ドラマ「おんな城主直虎」。「おんな城主直虎」は、完全オリジナル脚本のため原作は存在しませんが、代わりにドラマと連動したノベライズが順次発売されます。ドラマ中盤頃には、「おんな城主直虎」ブームに便乗した歴史小説や新書がバンバン出てくると思うので、今後ドラマの盛り上がりにも期待ですね。

 

ハプスブルク家

凄くおすすめ!

東宝ミュージカル「エリザベート」から西洋史にはまり、更にハプスブルク家にハマった私が未だに何度も読み返しているのが、江村洋氏の「ハプスブルク家」。これね、本っっ当に面白いんですよ。新書の体をとってはいますが文章は小説のそれに近く、ついつい歴史小説を読んでいるような気分になります。

 

本書は世界史が苦手な人でもスラスラ時系列が把握できるため、今まで断片的に知ってた「点」としての知識(マクシミリアン1世とかマリア・テレジアとか)がやがて「線」になり、歴史本の醍醐味である「あー、これが!こうで!ここに繋がるのかー!」という快感が味わえます。この快感があるから歴史本やめられないんだよな……。最近面白い本に出会ってないなーという方は、つべこべ言わずに買いましょう!

 

夫婦の城(短篇集「黒幕」収録)

凄くおすすめ!

上州の小幡信定と長野業政の娘正子の夫婦の絆を描く物語。

信定に嫁いだ頃の正子は醜く、夫婦となってからも信定は苦々しい思いを抱えていた。しかし、日が経ち子供が生まれてから、正子は次第に美しい容姿へと変貌し、夫婦の絆も固く結ばれていく。そんなある日、信定は主である武田信玄から別の女との 縁談を持ちかけられ……。

 

正子を評する信玄の言葉が、気持ちの良い読後感をもたらしてくれます。あまり目立つ短編ではありませんが、一度読めばずっと記憶に残る、「短編小説の名手」池波正太郎らしい作品。

 

額田女王

飛鳥時代の歌人で、天武天皇の妃であった額田女王。朝鮮出兵、蝦夷征伐、壬申の乱……激動の時代の中で、天智・天武両天皇に愛されたドラマチックな生涯を綴った井上靖の歴史小説。井上靖作品には他にも「淀どの日記」や「楊貴妃伝」など女性を主人公にした作品が多々ありますが、個人的にはこの「額田女王」が1番好きですね。

 

薄幸な才女でトライアングラーとかたまらんだろ……と思った人は私と性癖がドンピシャなので100%楽しめると思います。

 

傭兵ピエール

凄くおすすめ!

舞台は百年戦争真っ只中のフランス。百年戦争は悲劇の聖女ジャンヌ・ダルクと、傭兵隊を率いるピエールの関係にキュンキュンする歴史小説。ジャンヌの最期については誰もが知るところなので、ラストもバットエンドかと思いきや……?きちんと用意されていた救いのあるラストシーンに、希望を感じることのできる名作。シリアスと恋愛要素のバランスが絶妙なので、ぐいぐい読み進めてしまいます。面白い!

 

 源氏物語

光源氏を中心に、華やかな宮廷生活と数々女性たちの悲哀を描いています。国文学者の玉上氏が訳されているだけあって、源氏物語の訳本の中でも原作に忠実で格式高く、雅な文章で読みやすい。源氏物語は青空文庫に与謝野晶子訳本がありますが、あれちょっと読みにくいですよね。与謝野晶子訳で挫折した人(私です)でもスラスラ読める源氏、それがこの玉上訳です。

 

ちなみに、これ1冊朗読すると、物凄く語彙力と文章力がアップします。源氏物語は日本人としての教養を身につける上で必ず読んでおくべき本ですから、過去に挫折して古典嫌いになった人も、この本でもう一度チャレンジしてみては?

 

ともえ

木曽義仲が討たれた後の鎌倉、そして芭蕉の晩年期が交錯しながら物語は進みます。物語の語り部となるのは芭蕉の弟子である、智月尼。智月尼と芭蕉の恋、そして無償の愛情を通して義仲と巴御前の関係を描き出した名作。

 

芭蕉がなぜ大津の「義仲寺」を自らの墓所に選んだのか、本書を読めばその理由が分かるかも……?という触れ込みにそそられ購入しましたが、以外にあっさりしており、読後感はまあまあ。大河ドラマ好きな方は、おそらく巴御前の声が(CV.小池栄子)で再生されるのではないでしょうか。女武者の代名詞となった巴御前について、サクッと知りたい人におすすめ。

 

君の名残を

源義経と木曾義仲という二人の武将の活躍を軸に、現代から源平合戦の時代へタイムスリップした友恵と武蔵の活躍が描かれます。文章が非常に軽いので、上下巻合わせて2~3時間程度で読了可能。

 

歴史好きなら誰もが一度は妄想したことがある「タイムスリップ」という設定をそのまま本にしてみました!という、わりと「あるある展開」が続くので、何番煎じだよ感は拭えません。ただ、中高生の読書感想文とかにはぴったりなので、ラノベは読めるけど小説は読めないという10代の子によくオススメしてました。ラストの余韻がすごいので、本を読む楽しさも知ってくれたらなと思って。

 

北条政子

伊豆の豪族北条時政の娘に生まれた政子は、流人であった源頼朝に出会い、恋をする。やがて頼朝は平家打倒のため挙兵し、源平合戦が幕を開ける……。永井文学の代表作とも呼ばれる本作は、のちに尼将軍と呼ばれる北条政子の違った一面が垣間見える作品。

 

読了後、北条政子=悪女のイメージを崩すほどの衝撃も真新しさもないので、歴史に詳しい人は少し物足りなさを感じるはず。どちらかといえば、北条政子を通じて平安後期~鎌倉をサクッと知りたい人向けの、時代史入門書的な歴史小説と言えます。

 

火の姫

織田信長の妹、於市は浅井長政との間に於茶々、於初、於江の三姉妹をもうけた……。豊臣家最後の将軍の母となった於茶々と信長・秀吉・家康との関わりを描く三部作。

 

歴史小説としての面白さはやはり司馬遼太郎や池波正太郎に敵いませんが、サクッと読みたいライト層には受けるんじゃないでしょうか。女性作家の書く歴史小説は、やっぱりどこか登場人物の思想が現代的なんですが、この本も例に漏れずといった感じですね。

 

女信長

 偶有割拠の時代、天下を目前にとらえた覇王・織田信長。しかし信長は男ではなく女だった!?信長が行なったあらゆる政策、そして秘められた恋を描きつつ、本能寺の真相を描く話題作。天海祐希で映像化もされたので一時期本屋によく並んでいましたが、同著者の「庸兵ピエール」を読んだ後だと、ちょっとプロットが雑に感じます。

 

信長は女だった!というトンデモ論を、著者がこねくり回した結果できあがったのが本作。個人的には「馬鹿野郎!信長は男だからこそロマンがあるんだろ!」と主張したいので、今後読み返す予定はありません。読後は、「どうせ女にするならもっとこう、あっただろ何かこう……」的なモヤモヤ感が残り消化不良気味になります。ドラマ化されるだけのエンターテイメント性は、あるようなないような。

 

功名が辻

NHK大河ドラマ「功名が辻」の原作本。千代の聡明さと一豊の無能さがはっきりと表れており、一豊が土佐藩主になったのは千代のおかげ!くらいの書き方をされています。また、作中には教訓めいたエピソードが多数盛り込まれているので、他の司馬遼太郎作品に比べると自己啓発的要素が強い。

 

輪違屋糸里

16歳で島原の輪違屋に売られた芸子の糸里。姉のように慕う音羽太夫を新選組の芹沢鴨に殺されたことをきっかけに、新選組浪士たちと深く関わるようになる。土方歳三に思いを寄せる糸里と、そんな糸里を翻弄する土方の色男っぷりが楽しい。

 

読んでみたけどあまり面白くなかった作品

女主人公の歴史小説というだけで読んでみたはいいものの、あまり面白くなかったな……と思うのが以下の作品たち。正規価格で購入するとちょっともったいないので、Kindleセールなどの利用をおすすめします。

 

 幻花

政治が混乱し、応仁の乱がはじまろうとしている京の都。政治よりも遊興に身を委ねる八代将軍足利義政の身辺では、正室の日野富子と愛妾・今参局の対立が激しくなっていた。無能な義政を影で支えた烈婦日野富子とはどんな女性だったのか……。

 

日野富子=銭ゲバというイメージを持っている人におすすめしたい本。読み終わっても銭ゲバのイメージは消えないうえ、どうしても文面から瀬戸内寂聴の顔がちらつくので読む人を選ぶ本だとは思います。ただ、この時代をテーマにした本は少ないので、そういう意味では貴重。

 

火宅の女─春日局

徳川三代将軍・家光の乳母として権力を持った春日の局の生涯を描いた作品。辛気臭さ全開です。

 

天璋院篤姫

18歳の若さで薩摩藩主・斉彬の養女となった篤姫。篤姫の器量を見込んだ斉彬によって江戸に送られ、やがて徳川十三代家定の正室、御台所に。家定が早逝したのちは出家して天璋院となり、動乱の幕末を大奥から見つめる……。2008 年大河ドラマ原作。

 

白蓮れんれん

筑紫の女王と呼ばれた美しき歌人、柳原白蓮。年下の恋人と駆け落ちをはかり一大スキャンダルとなった「白蓮事件」を元に、二人の恋の行方を描いた名作。第八回柴田錬三郎賞受賞作。