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よなかのはなし

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これは滾るぅぁーっ!双竜のはじまりの物語「戦国BASARA4梵天丸編」レビュー

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戦国無双一強だった戦国ゲーム界に、「戦国とか知らねえよ」と言わんばかりの突き抜けっぷりをみせたゲーム「戦国BASARA」。今回は主人公の1人、竜王こと伊達政宗をフューチャーした戦国BASARA4のコミカライズ・スピンオフ「戦国BASARA4梵天丸編」をご紹介したいと思います。

 

先に言っちゃうけど、かなり胸熱な展開で読み終わったあと思わず頭抱えました。その新鮮な感動を味わって頂くために、話の要になるネタバレはなしの方向でレビューを書いていきたいと思います。

 

武田の陣へ単騎殴りこむ梵天丸!通説を覆す「幼少時代」が新鮮

「戦国BASARA4梵天丸編」は、さる戦を控えた前夜、奥州・青葉城で酒を呷る城主・伊達政宗の回想から始まります。政宗が思い出すのは竜の右目と呼ばれる小十郎との出会い、そして「伊達政宗」の名を継ぎ奥州を護ると覚悟を決めた日のことーーー。

 

***

 

今まさに奥州に攻め入ろうとしている武田軍の陣へ馬を走らせる一人の少年。追いすがる家臣を置き去りにして走るこの少年こそ、梵天丸・伊達政宗。梵天丸は武田の陣に着くなり、いきなり「俺と勝負しろ」と戦を申し込みます。

 

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 (戦国BASARA4~梵天丸編~より)

 

しかし当然、武田軍の兵に侮られ相手にさえしてもらえません。終いには「その右目で…」と侮られる始末。この不用意な一言により梵天丸はより好戦的になり手当たり次第兵に打ちかかっていきます。さすが筆頭!沸点低い!

 

兵を蹴散らし、大将・信玄に襲い掛かる梵天丸。その太刀の前に飛び出してきたのは、のちに真田幸村と呼ばれる弁丸少年でした。

 

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 (戦国BASARA4~梵天丸編~より)

 

梵天丸の前に防戦一方となる弁丸を見かね、信玄は己の拳で応戦することに。信玄の拳を受け吹っ飛ばされた梵天丸は右目の痛みが再発し、一時撤退を余儀なくされます。遠ざかる梵天丸の背を見つめながら、弁丸少年は将来の好敵手になる予感を感じとる。

梵天丸の剣術指南役を引き受ける小十郎と、双竜の出会い

同じ頃、青葉城では大老が片倉小十郎に梵天丸の剣の指南役を務めるよう説得にあたっていました。大老には「恩」があるらしく、渋々指南役を引き受ける小十郎。雪の中一人立つ梵天丸の元に向い、剣の指南役になったことを伝えます。対面する2人の構図が、実は後々への伏線だったとは!!

 

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 (戦国BASARA4~梵天丸編~より)

 

翌日から小十郎による剣術の指導がはじまるも、梵天丸は小十郎の出自を侮って挑発し、屋敷を破壊しながら我武者羅につっこんでいくなど、その姿は「獣」そのもの。むろん、小十郎には返り討ちにされ一撃を当てることもできません。そして数日後、ついに梵天丸は小十郎の元から忽然と姿を消してしまいます。

 

大老に呼ばれ登城した小十郎は「梵天丸は逃げたぜ」とだけ告げ、早々に城を下がろうとします。城内で小十郎の姿を見た家臣たちは陰口をきき、「おっかねえ」と言うばかり。家臣たちの陰口を意に介さず、城内を歩きながら小十郎が思い出すのは生前、梵天丸の父・輝宗と交わした1つの約束でした。

 

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 (戦国BASARA4~梵天丸編~より)

 

小十郎は「伊達家と政宗を頼む」という先代との約束を守るために尽力しましたが、先代亡きあと重臣たちは城を明け渡すと言い、伊達家を思えばこそ小十郎は強く反発します。ついには家老を殴り、処分として打首になるところを大老が救い、この件は終幕。城内の人間が小十郎を畏怖しているのはこの事件のためでした。

 

先代との約束を思い出すうち、小十郎は梵天丸が自分の元から逃げたのではなく、一人で剣の修行をしているのではないかと考えます。森の中を馬で駆けていくと、そこには小十郎の想像通り一人孤独に剣を振るう梵天丸の姿が。

 

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 (戦国BASARA4~梵天丸編~より)

 

信じられる家臣も持たず、一人で奥州を守ろうとする梵天丸の姿を見つめる小十郎。そして、再び剣術指南役として務めることを決意します。

小十郎の教えと松永久秀の襲来…そして誕生する奥州筆頭「伊達政宗」

小十郎はある日、梵天丸を畑に駆り出し一つの教えを授けました。

 

「強さってヤツは敵を制することじゃねえ、命を奪うってことじゃねえ」

「生命を護り創世るってことだ 生は死よりも遙かに重い そいつを忘れるな」

 

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 (戦国BASARA4~梵天丸編~より)

 

梵天丸は小十郎の教えを受け、剣術の腕を磨いていきます。そんな中、何者かの襲撃にに遭い青葉城が炎に包まれているとの報せが!城を襲ったのは戦国のボンバーマンこと松永久秀でした。またお前か!!

 

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 (戦国BASARA4~梵天丸編~より)

 

すぐに城へ向かおうとする梵天丸の腹を殴りつけて家臣に預け、「死ぬ覚悟は決まっている」と単騎、城へ向かう小十郎。虚ろな意識の中で梵天丸はこれまで小十郎の言葉を思い出し、部下の馬を奪って小十郎の後を追い城へと急ぎます。

 

同じ頃、青葉城では松永と小十郎が交戦中。梵天丸との稽古中に痛めた右腕をかばい、小十郎は松永に圧されて窮地に!

 

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 (戦国BASARA4~梵天丸編~より)

 

「ここまでか」と諦めかけたところに、間一髪で梵天丸が駆けつけます。梵天丸は松永を前に、自らが奥州を守ると宣言!

 

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 (戦国BASARA4~梵天丸編~より)

 

はたして梵天丸と小十郎は松永から奥州を護れるのか!そして梵天丸と小十郎の関係はどう変化していくのか…!!続きは買ってから!!

 

 

【感想】BASARAと戦国時代の持つ陰鬱さのバランスが最高

内容がぶっとんでいるだけに割と戦国モノの中でもキワモノ扱いされているBASARAですが、このコミカライズは良い意味でこのキワモノ感が中和され、濃密な「伊達政宗伝」に仕上げていると思います。とにかく濃ゆい!

 

伊達政宗の梵天丸時代、そして小十郎との関係については一般的に「幼少時はうじうじしている梵天丸と過保護な傅役・小十郎」というイメージが強いと思うのですが、本作ではそうした従来のイメージ打ち破っているのが新鮮。小十郎は初対面の梵天丸を殴りつけるくらいオラついてますし、梵天丸は梵天丸で小十郎を殺す気で突っかかっていきますので。

 

でも戦国BASARAにおける双竜のあり方を思えば、この「第一印象最悪」展開の方がより胸熱であることは間違いありません。やっぱり戦国モノはこれくらい男臭くてなんぼですよ!あと、この時代特有の陰鬱さが端々に漂っているのも良い!

 

BASARAについては過去にも伊達政宗を主人公にした「戦国BASARA2」が発売されていますが、こちらは作画が女性(灰原薬先生)なだけに線も細く絵柄にはやや柔らかさがありました。しかし吉原先生が作画を担当している本作は絵のタッチも力強く男臭さも十分で、「戦国時代」に漂う生臭さを残しているため絵の持つ重みがすごいんですよね。吉原先生が書かれるコマの1つ1つも美しく、漫画というよりコマごとに一枚絵を見せられているよう。

 

この本はカバーを外した「裏表紙」にもちょっとした仕掛けがあり、本作を読んだ後に裏表紙を見ると思わず「あぁー!!」と頭を抱えてしまうのですが(良い意味で)、Kindle版にも最終ページにしっかりと裏表紙が収録されているので電子書籍で購入しても損はしませんよ。

 

 ゲーム版戦国BASARAからもう一歩踏み込んで双竜を知りたければ、アンソロジーも良いですがまずは本作を読んでみてください。感動3割増確実です。そして史実の政宗公を知りたくなったら相川司先生の研究本「伊達政宗 (Truth In History)」をどうぞ。

 

伊達政宗の好敵手、真田幸村を知りたくなったら以下の本たちがおすすめ!