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よなかのはなし

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「スケール感」で楽しむモーニング娘。つんく♂楽曲に潜むニッチなギミック!

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モーニング娘。のほとんどの楽曲を作詞・作曲しているつんくはまさに現代のトリックスター!「は?なんて?」と聞き返したくなるようなタイトル、巧妙な音作り、難解な歌詞に翻弄され、その解釈をめぐってファンが殴りあうのもよくある事!

 

そんなつんくの楽曲をより楽しむために欠かせないキーワードが「スケール感」。今回はモーニング娘。楽曲をこのスケール感というキーワードから紐解いていきたいと思います。

つんく楽曲に潜むギミック!一般人を置き去りにする独自路線が持つ魅力

 「作曲者としてのつんく」というと、一般的にはまだまだ「LOVEマシーン」や「恋愛レボリューション21」のようなコミックソングを量産しているイメージだと思います。2013年頃からモーニング娘。のEDM楽曲が注目されはじめたのでそのイメージも多少変わりつつあるのかもしれませんが、私の周りにいる一般のライト層はやっぱりつんくのことを「LOVEマシーンとシングルベッドの人」と言っています。

 

つんくは割と独自路線というか、それこそモーニング娘。黄金期なんて言われて我が軍がもてはやされていた頃からメジャーな大衆ソングを書いているふりをして、その実、一般人を置き去りにし音楽に造形のある人間が悶絶するようなニッチな曲を書き続けていました。歌詞もそうですが、何よりも音作りが凝っていてインストバージョンでも十分楽しめる、つんく楽曲にはそういう魅力があるんです。

 

 つんくの曲を技術的に解説している記事なら、REAL SOUNDのコラムでトレモロイドのシンセサイザー・小林郁太氏が解説しているものがおもしろかったですよね。

このコラムの中ではLOVEマシーンやMr.Moonlight~愛のビックバンド~などのコード進行などを解説しているのですが、最近の楽曲だと「Help me!!」についてこんな風に分析されてます。

 

『Help me!!』は 音楽的な工夫が多く詰まった曲です。

 

楽曲のリズムとダンスをより密にブラッシュアップする傍らで、長い音符でメロディアスに歌うセクションを2つ用意し、 そこに至るまでのセクションでリズムの緩急を作ります。具体的にはベース・ラインに工夫があり、「ラインを動かさないリズム寄りのベース → ベース抜け → 得意のうねるベースライン」となっています。

そうした音楽的な工夫によって、1コーラスのキメである「栄光」「現実」のフレーズに向かう物語性が生まれているといえます。

 

モーニング娘。楽曲の進化史ーーメロディとリズムを自在に操る、つんく♂の作曲法を分析

 

こういうギミックがふんだんに使われているので、つんくの曲は何度聞いても飽きないし、息の長い人気を得ているのではないでしょうか。

 

コード進行と歌詞の世界観が創りだす、「ちょっと世界背負ってる感が良い」つんくワールド

私はつんく楽曲を表現するときによく「スケール感」というキーワードを使います。たとえば、「モーニング娘。の新曲聞いたけど、今回の曲はかなりスケールが大きいね!」という感じ。

 

つんくの楽曲が面白いのは、あるときは隣人や家族、恋人に対してものすごく近い距離感で歌っているかと思えば、またある曲では地球や未来へ思いをはせたり、どこか遠くの時空の先にいるまだ見ぬ相手に焦がれるような距離感を漂わすところ。曲の中に登場する「わたし」は、渋谷でクレープを食べていたかと思えば瞬く間に地球の平和を考え始めるのです。そういう突飛な猪突猛進ガールが、つんくの楽曲にはよく登場します。

 

こうした距離感やスケールを作り出しているのは、前述したコード進行のような重厚な音づくりと、つんくワールドが炸裂している歌詞の世界感。

 

 

 モーニング娘。の楽曲によく出現する単語は、「地球、宇宙、世界、人生、平和、歴史、愛、星…」など。そして政治や社会、選挙といった社会的なワードも多いですよね。歌詞の主人公である「わたし」は、地球を守る、平和を願う、歴史に刻む、みんなを愛する、選挙に行く、という風になぜか1人地球防衛軍かのような使命感を持ちその信念のもとに行動しているのです。それも高確率で白米を食べながら。

 

重度のハロヲタで知られるマツコ・デラックスなんかは、こうした歌詞が度々登場する楽曲を歌うモーニング娘。を「ちょっと世界背負ってる感じが良い」と評していますが、私も全く同意見です。

この世に生を受けたからには、人間なら一度は天下を獲りたいとか、ヒーローになりたいという野望を抱くと思うのですが、その野望を私達の代わりにつんくがその曲でもってして代弁してくれているので、楽曲に自分を投影して深~く共感する……モーニング娘。の楽曲がいつまでも人気なのはそうした自己投影の影響もあるのではないでしょうか。

 

 

考えるな、感じるんだ!「スケール感」で紐解くモーニング娘。の楽曲たち

EDM期の楽曲を中心に、私がどの曲をどのようなスケール感で捉えているか、一部ですがご紹介したいと思います。

一応図解っぽくイメージ画も作ってみました。徹夜しながら深夜テンションで制作したせいでサイコパスっぽくなっていますが気にしないでください。

 

時空を超え宇宙を超え

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全体的に漂う切なさが印象的なモーニング娘。の55枚目のシングル「時空を超え宇宙を超え」。つんく楽曲の持つスケール感を捉えるには、最も分かりやすい曲だと思います。

この曲はサビで何度も登場する歌詞「時空を超え宇宙を超え 結ばれる頃には この地球は綺麗になるかな」というフレーズが象徴的ですよね。ファンの中でもかなり歌詞の解釈が分かれる曲なのですが、つんくが自身のブログに掲載したライナーノーツにこの曲のスケール感をつかむヒントがあります。

 

このシングルはまだ会えない誰かを過去からずっと待っている人の歌。運命なんて言葉があり、赤い糸なのか、縁なのか、人は出会うべくして出会うというのだからいつかきっと出会う。そんな気持ちで待っている人の歌です。

 

まだ産まれてもいない女の子がいつか産まれてくる未来の恋人の出現を待っている。いつか母になるだろう少女がいつか出会うべく赤ん坊を待っている。これは少年だって同じ。独身者だっていつか出会うべき家族や子供を待っている。今も愛し合っている恋人が一生の伴侶であると確信する時を待っている。仕事上で運命を共にする人を待っている。モーニング娘。'14のメンバーが新メンバーを待っている。いろんな出会いを想像しながら曲を仕上げました。

 

モーニング娘。'14 4/16発売シングル「時空を超え 宇宙を超え/Password is 0」

 

結論:時空を超え宇宙を超えはスケールがでかい。

 

 そもそも「時空を超え宇宙を超え」は、何度もリフレインするピアノとストリングスのリズムが、まるで輪廻転生を象徴しているようでちょっと宗教的な荘厳ささえ感じるような、モーニング娘。には珍しいタイプの楽曲なんですよね。

 

物理学ではいまリサ・ランドール女史の研究で「5次元以上の高次元世界」に注目が集まってますし、神道では人間=神とされて肉体も魂も時空を超えるという説があったと思うので(うろ覚え)、こうした知識をもっていれば幾通りの解釈ができて「今日も妄想で飯がうまい!」というのが「時空を超え宇宙を超え」の魅力の1つでもあります。

 

「時空を超え宇宙を超え」と似たような楽曲だと、森山直太朗の「時の行方」やMISIAの「EDGE OF THE WORLD」なんかがありますし、世界観の似ている曲と聴き比べてみるのも面白いかもしれませんね。

 

One and Only

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 NHKのJ-meroテーマソングにも起用されたこの曲は、やはりJ-meroのイメージから「グローバルなモーニング娘。」というイメージが強いと思いますが、歌詞を読んでいくと、実は以外にも「World」というキーワードは1つも使われていないから不思議。

 

オケの音源だけを聞くといかにもワールドワイドな感じがするのに、歌詞は「自分たちがここから飛び出して目指す、その先にあるもっと大きな未来」なので、「WORLD」よりも「FUTURE」というキーワードの方が、曲の持つ本質には近いのだと思います。

 

まあこの辺はMVで世界地図が出てきたり、歌唱が英語詞だったり、野中がフューチャーされているところが大きいので、「モーニング娘。がこれから目指す未来=日本を飛び出してもっと広い世界(=グローバル)なんだよ、日本じゃ狭すぎるんだよ!」というイメージになっているのかもしれませんね。

 

結論:One and Onlyもスケールがでかい。

 

 「時空を超え宇宙を超え」に比べるとやや小さめですが、それでも十分に「スケールが大きい曲」に分類できるレベルです。

 

まとめ

 このように「スケール感」というキーワードを意識して楽曲を聴きこんでいくと、モーニング娘。の楽曲をまた新鮮なイメージとしてとらえることができます。いやーやっぱりつんくの作る曲は面白いですね!