よなかのはなし

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モーニング娘。卒業、圧倒的エース鞘師里保の決断とその先にある未来

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10月29日、モーニング娘。9期メンバーの鞘師里保が2015年12月のハロープロジェクトカウントダウンコンサートをもってモーニング娘。を卒業することを発表しました。

最悪、もう最悪だと言わざるを得ません。何やってるんだろうあの事務所…。

 

鞘師卒業理由は公式に「ダンス留学のため」と発表されていますが、ここ最近の鞘師を見ていると事務所からの冷遇、メンバーとの不仲という印象が強くスキルアップのための卒業という理由はあまりに不信で額面通りに受け取るには抵抗があります。

 

「鞘師電撃卒業」という一報にファンの間でも動揺が広がっていますが、これまで私が見てきた「鞘師里保」というアイドルと、その卒業理由について推察してみました。

12歳の少女「鞘師里保」は瞬く間にモーニング娘。のエースへ

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鞘師里保はモーニング娘。の9期メンバー募集に際し、アクターズスクール広島出身というサラブレットのブランドを引っさげてこのオーディションに臨みました。

この頃はまだモーニング娘。のオーディションがテレビ東京の「美女学」という番組内で放送され、候補者たちのコメントなども見ることができたので、今の12期オーディションと違いファンも食い入るように動向を見守っていました。

 

そして、第3次審査のダンスで、まだあどけない12歳の少女がいきなり豹変したようにキレッキレのダンスを繰り出す姿に「おいおい、なんだこいつは!」とテレビを見ていたファンは度肝を抜かれたのです。この12歳の少女こそ、のちにモーニング娘。再興の立役者となる鞘師里保、その人でした。

 

当時の鞘師はつぶらな目とちょこちょこ動く姿がまるでハムスターやリスのようなげっ歯類的な可愛さ(歯が出ているということではない)があり、さらに幸の薄そうな典型的な「和顔」が、なんともいえない絶妙な可愛らしさをかもしだしていました。

こうした「つい構いたくなる親戚の姪っ子のような愛嬌」はモーニング娘。の黄金期を作った主要メンバーの辻・加護コンビの愛嬌(辻・加護は悪ガキ要素が強い)とはまた違った雰囲気で、今までのモーニング娘。にはいないタイプでしたね。

 

モーニング娘。ファンの多くが鞘師を次世代のエースだとはっきり自覚した(せざるを得なかった)のは、高橋愛・新垣里沙と共にパフォーマンスをした「Moonlight night~月夜の晩だよ~」。

 

今でも鞘師里保覚醒のターニングポイントとしてよくあげられるこのパフォーマンスの中で、鞘師は10年選手である高橋愛と新垣里沙に引けをとらないダンスを披露。

高いダンススキルを持つメンバーが揃っていたプラチナ期で目が肥えていたファンでさえこの時の鞘師のダンスに目を奪われ、そのスキルの高さを目の当たりにして、誰もが彼女を「モーニング娘。の次世代エース」だと認めざるを得なくなったという、今後も語り継がれていく伝説のパフォーマンスです。

 

ただ、当時の鞘師はまだモーニング娘。に加入したばかりの「ダンスが上手い新人」に過ぎず、高橋や新垣が持つアイドルダンスのセンスや目線の使い方には遠く及ばず、表現力にはまだまだ未熟さが見え隠れしていました。「Moonlight night~月夜の晩だよ~」を踊っていた鞘師は、どちらかというとまだ「アイドル」ではなく「ダンサー」のスタンスに近かったように思えます。

 

モーニング娘。の黄金期、プラチナ期をリアルタイムで見ていない新規ファンが、YouTubeで「Moonlight night~月夜の晩だよ~」の動画を見てモーニング娘。のファンになったという声もよく聞きます。

メディア露出がほとんどなく今では「暗黒期」と呼ばれることも多いプラチナ期から脱却できるかどうかのキーパーソン、これから「なにかとんでもないことをしでかすような」新しいモーニング娘。の象徴が、鞘師里保というメンバーだったのかもしれませんね。

 

「グループとしてのダンス」を意識しはじめた鞘師

鞘師はそのダンススキルの高さから、「グループ」としてのダンスに関しては、当時のリーダー高橋愛から「一人だけ上手く踊れても意味が無い」という旨の事を言われたと語っています。高橋愛は、加入当時から9期の中では1人だけ歌割りをもらい、ダンスポジションもセンター近くを獲得していた鞘師を非常に気にかけていました。

 

高橋からの助言を受けて、鞘師はアイドルとしての自分と「モーニング娘。としてのダンス」を考えはじめたのではないでしょうか。ダンサーではなくアイドル、というスタンスを高橋が身を持って鞘師に教えたことで、この頃から鞘師の中で何かが変わり始めたのは確かだと思います。

 

今もなお鞘師の良き相談相手となっている高橋も現役時代にブロードウェイへの憧れを口にしたことがあり、かつての自分と同じ夢や悩みを抱える鞘師に、その背を押すようなアドバイスをし留学に踏み切らせたのは間違いないようです。

 

モーニング娘。の歴史を塗り替える新たな伝説の始まりは「Help me!!」

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モーニング娘。がシングル5作連続オリコン1位という快進撃をはじめるきっかけになった「Help me!!」は、近年のモーニング娘。のEDM路線の中では歌・ダンスともに最高傑作との呼び声も高い名曲です。現役のファンの中には「Help me!!新規(ファン)」という言葉があるくらい、一般層を多くハロプロ沼に引きずり込んだこの曲が世間に与えたインパクトはすさまじいものでした。

 

この「Help me!!」で、鞘師のセンターポジションがほぼ固定。いわゆる「サヤシステム」路線が明確になりました。フォーメーションダンスを要とするこの頃のモーニング娘。において、鞘師は絶対にセンターにいなければならない重要なメンバー。こうした1人のメンバーを優遇する規定路線に不満を抱くファンもいましたが、しかしそうする以外に、再びモーニング娘。の人気を再興する道がなかったのも確かです。

 

楽曲がオリコン1位を獲得し、「モーニング娘。再ブレイク」などと世間が賑わい始める一方で、センターである鞘師への風当たりが徐々に強くなっていったのもこの頃。

私から見ても鞘師の推されっぷり、持ち上げられっぷりは異常で、他メンバーのファンの不満は最もだと思っていました。それに鞘師は決してビジュアルがずば抜けているわけではなく、道重さゆみや工藤遥などビジュアルの高いメンバーと比べると、「センターを任せるには地味すぎる」と言われても否定できないのです。

 

そんな中、当時14歳の鞘師は2013年(平成25年)4月24日山梨日日新聞のインタビューでモーニング娘。と自身のセンターポジションについてこんなコメントをしていました。

 

卒業する先輩が「『頼んだよ』って言って後輩に引き継いでいくので、私達も『看板』を託されることを誇りにしている。

 

たとえセンターを外されてもふてくされないで頑張れる自信がある。センターよりもグループの一員でることの誇りの方が大きい。

4月24日山梨日日新聞「鞘師里保インタビュー」

 

14歳の少女がまだその背には重すぎるだろう「誇り」という言葉を使い、冷静に自分の立ち位置や批判などを受け入れ、モーニング娘。を背負っていくと語る姿にファンは沈黙するしかありませんでした。

 

抜群のダンススキルと不安定な歌唱力でモーニング娘。'14を再ブレイクに導いた鞘師

鞘師はダンスでこそ、あのBerryz工房の清水に「ハロプロナンバーワン」と評価されるほど無敵でしたが、歌唱力は上の下くらいとあまりパットしないレベル。

得意とする低~中音域であればスムーズにクリアな音が出るのですが、高音は腹式を使えず喉を絞るようにして歌うので、聞いている方も「あれ?」と感じることが多かったんですよね。さらに、声質自体が低いためバラードのような楽曲ではそれがマイナスに働き、「鞘師が歌うと辛気臭い」などという一部のファンからの批判も聞きました。

 

歌割りが多いだけにこうした欠点が他のメンバーよりも露見しやすく、モーニング娘。を愛するあまり「鞘師の歌割りは減らすべき」という意見をするファンもいたくらいです。私も何度かモーニング娘。のコンサートに行きましたが、コンディションが良いときと悪いときの差が激しく、歌に安定感がないのでハラハラすることもしょっちゅうでした。

 

何年経っても歌唱力が伸び悩んでいたため、ファンの間では鞘師の喉を心配する声が絶えずありました。

2015年に入ってやや力が抜け、歌唱力もアップしてきたかと思いましたが、「今すぐ飛び込む勇気」のBメロを聞く限りではやはりまだどうにも辛そうで、この辺はMUSIC+で流れたレコーディング風景でも本人があまり納得していないようなシーンがありましたね。

 

Help me!!にはじまり、ブレインストーミング、わがまま気のまま愛のジョーク、笑顔の君は太陽さ、時空を超え宇宙を超えというシングルが軒並みオリコンウィークリー1位を獲得したとき、メディアにはそれまでの冷遇ぶりが嘘のように、活気よく「モーニング娘。'14再ブレイク!」の見出しがバンバン踊っていました。

 

モーニング娘。の暗黒期を見てきて当時のメンバー達の不遇や何をやっても報われない姿を知っているファンの1人として、モーニング娘。が再びメディアにこのような扱いを受けることはにわかに信じがたかったのですが、モーニング娘。'14のメンバーと鞘師が起こした「再ブレイク」が実感を伴ってきたとき、大声で「どうだ!みたか!娘。たちはすごいだろう!」と叫びたくなるような衝動が湧き上がってきました。

 

卒業と加入を繰り返しながら託されてきたモーニング娘。の「たすき」は、きちんと次世代に受け継がれ、モーニング娘。'14時代に1つの実を結んだのです。鞘師が受け継いだその「たすき」は、高いスキルを持っていたにも関わらずメディアに好かれず辛酸を嘗めたプラチナ期のセンター・高橋愛から受け継いだものだったのかもしれません。

 

「孤高」のエースと事務所が課した過酷なスケジュール

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 画像:モーニング娘。'15『One and Only』(Promotion Edit) - YouTube

 

鞘師に「ぼっちキャラ」を強要したモーニング娘。のメンバーとマネージャー

モーニング娘。'14が快進撃を続ける一方で、ファンの間では頻繁に鞘師の孤立が心配されていました。メンバーのブログ画像にも鞘師は滅多に姿を表さないことが多く、ブログなどでも一人で過ごしたことをほのめかすような文章が多かったからです。

 

さらに、私が「おいふざけるなよ!」と思ったのは、こうした孤立化をメンバーだけでなくアップフロントのモーニング娘。担当マネージャーまでもがネタにしていたことです。2015年の5月、この当該マネージャーは鞘師の誕生日ツイートの一文に「こんなに愛されている"ぼっち"は他にいません!」と書いています。実際のツイートをご覧ください。

 

 

鈴木や生田のようなバラエティ慣れしているメンバーと違い、鞘師が「ぼっちキャラ」を感受することなんて出来るはずないとファンでさえわかるのに、1番近くでメンバーを守るべき人間がセンターメンバーの心象を悪化させ、グループの印象をも悪くしているという愚行です。

 

そして面白がってこの流れに悪ノリする9期と10期メンバー。こうしてイベントの度にマネージャーとともに鞘師を「ぼっちキャラ」としていじるのが定番となっていき、いじられるたびに自分で「ぼっちだから」と口にするしかなくなっていく鞘師の姿を見るのは、私にとって不快以外の何ものでもありませんでした。

 

こうした鞘師いじりは、道重さゆみが卒業したモーニング娘。'15時代から徐々に露骨になっていきました。14時代は当時リーダーであった道重が自ら鞘師にコミュニケーションを取ろうとし、フォローもしているようすがDVDmagazineなどで確認できますよね。道重の卒業が迫る中、自分からグイグイ行くのが苦手にも関わらずコンサート中に道重に抱きつき「これが今の私にできるお返し」と語った鞘師から、当時の2人がどのような関係であったかが伺い知れるというものです。

 

道重卒業後は同世代のメンバーだけになりモーニング娘。はもっとアットホームなグループになっていくかと思われていましたが、どうもメンバーのブログを見る限り、10代女子特有の派閥があったり、特定のメンバー同士でくっついたり離れたり、かなりややこしい事になっている印象を受けました。メンバー同士の年齢が近いことが、マイナスに働いているのかもしれません。

 

さらに、9期はもともと個性が強く10期のようにプライベートで遊ぶような仲ではありません。2015年、道重という拠り所をなくした鞘師は、目に見えて元気がなくなり、センターというプレッシャーに押しつぶされて徐々に体調・パフォーマンスの質を落としていきます。

 

 アイドルを「短命」にする、アップフロントの過酷なスケジュール

また、最近のアップフロントのアイドル酷使はひどく、コンサート3連チャンの直後にさも当然のように握手会を入れたりと、年々スケジュールが過酷になってきています。ハロプロのコンサートはここ数年でアクロバットや本格的なダンスに力を入れているので体力的にも精神的にも疲労度合いが凄まじく、その上学業とも両立しなければならないのですから鞘師のみならず他のメンバーが身体を壊しても何の不思議もないほどです。

こうしたスケジュールの影響と断言はできませんが、2015年上旬頃から鞘師の表情が暗くなり、体型もむくみ気味になったりと不調の兆候が見えていたので、ファンの間では「うつ病」を心配する声も多かったのです。7月に一旦休養した後、ヤンタンでは休養の理由について以下のように説明していました。

 

今回「MBSヤングタウン土曜日」では、症状について「疲れ果ててしまった感じです」と説明。具体的には「初めて立ち上がれなくなった……立ち上がれないというか、立ち上がりたくない」と、身体的というよりは精神的な問題だったようで、「体がボキボキで立てないとか、そういうことじゃなくて、立ち上がるのに力が出ない」状態だったという。

モー娘。鞘師が体調不良を説明「疲れ果てた」「立ち上がりたくない」

 

最近、モーニング娘。の中には怪我で活動を離脱するメンバーも多いので、アップフロント事務所はもう少しメンバーのことを最優先に考えたスケジュール管理をして欲しいものです。

 

もしも過酷なスケジュールを心配した鞘師の家族からストップが入って事務所と揉め、急遽卒業が決まったというのが真相なら、カントリーガールズの島村嬉唄の時とほとんど同じです。これでは「鞘師は事務所に潰された」と言われても、文句は言えませんよ。

 

つんくが総合プロデューサーを降り、接触商法にどっぷり浸かったアップフロントにとって、自社のアイドルはもはや消耗品になりつつあります。頻繁に行われる握手会やチェキ会、モーニング娘。と同じハロプロ所属のJuice=Juiceは週に2回、通算220回公演などというブラック企業も真っ青の過酷なスケジュールの中で活動を余儀なくされている現状はもっと問題視されるべきです。

 

若い女性が過剰な接触によって強迫性障害を発症したり、極度のストレスや疲労でホルモンバランスが崩れて体調に著しい不調をきたしたりするのは、決して珍しいことではありません。もし今後所属アイドルが鞘師以上の体調不良を起こしたら、アップフロントは労災という「大人の対応」で片付けるつもりなんでしょうか。大事にならないと重い腰をあげないのはブラック企業に共通しているそれですね。

 

私はこうした目先の利益ばかりを追うやり方がどうしても許せないので、CDを買ってもイベントの抽選券は毎回ゴミ箱に捨てています。

アップフロントは、まだほんの少しでも音楽レーベルというプライドが残っているなら、こうした接触商法よりも純粋に「音楽の魅力や企画力」で利益を上げる方法を考えるべきなのではないでしょうか。第二、第三の鞘師を出さないためにも……。

 

2015年12月まで「モーニング娘。の鞘師里保」を見届けよう

決定が急過ぎるとか、卒コンがないのは納得できないというファンの声もありますが、私はりほりほが1日も早く休養をむかえ、また元気な姿で新たな道へのスタートを切ってくれるならば、それが1番だと思います。

鞘師のブログに掲載された卒業についての文章は明らかに事務所が書きやがったなという匂いがプンプンしますが、留学するにしろしないにしろ、17歳という年齢の先にはまだたくさんの選択肢がありますから、まずはゆっくりと体調を戻してから自分の進みたい道を決めて欲しい。

 

ハロプロの面々はグループリーダーの℃-ute矢島を筆頭に、ブログで「必ず留学に行ってさぞて立派になって帰ってくるんでしょうね~?」とちょっとネチネチした発言が目立つので見ていてイラッとしますが、「留学」という言葉にとらわれて選択肢を狭めずに、本当に自分の学びたいことを学べる場で成長していってほしいと、ファンは誰もがそう思っていますよ。

 

そしてまたいつか、今度はOGとして古巣のモーニング娘。に帰ってきてくれることを願っています。鞘師里保の前途に幸あれ!

 

まとめ

鞘師が卒業した後のモーニング娘。'16は、残されたメンバーにとって1つの試練。センターの穴を埋めるために、12期もいつまでも「新人気分」のままでいてもらっては困ります。鞘師が卒業する事は、EDM路線の呪縛から抜け出すいい機会かもしれませんし、今度はどんな「新生モーニング娘。」を見せてくれるのか楽しみでもありますね。

 

来年は勝負の年だぞ!モーニング娘。'16!